ドラマー
「ねぇ、彼氏にしたらいけない男の3Bって知ってる?」
「なにそれ?」
私の親友は、時折なんの脈絡もなくこういう話を始めるのだ。
「美容師、バーテンダー、バンドマンだって。あんたの彼氏、ドラマーだったよね?」
少し上から目線の物言いに、ちょっとだけムッとした。まるで私が悪いことをしているかのような言い草だ。
「だからなに?」
「いやー、あんた前々から男運ないなぁって思ってたからさ。その理由なんなんだろーって考えてたのよ。そもそもあんたの趣味が悪いのよね」
「ねぇ、それ本人を前にして言うこと?」
デリカシーの欠片もない。私は好きで相手を選んでいるのに。
「え、もしかしてキレちゃった? ごめーん、そんなつもりは無いの」
「まったく……」
何が「ごめーん」だ。謝る気のない謝罪。呆れてしまう。
いや、そういえば前に彼氏が新しい曲を叩いていたな。あれを聴かせてやるか。
「ねぇ、そんなことより私の彼氏が今練習中の曲聴いてみない?」
「聴く聴くー」
私はイヤホンの片側を友人に渡すと、スマホで録音したドラム音源を聴かせてやった。
「何これカッコイイじゃん」
「付き合ったら行けない女3Cって曲らしいよ。ちなみに3Cに選ばれてるのは、コンカフェ嬢、キャバ嬢、地下アイドル。あんた全部あてはまってんじゃん」
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