幻

第1話

命は絶対に無くなる。

だが繰り返される。

この世はいつだって繰り返されている。

植物も、再生して枯れての繰り返しだ。

命を持つ動物として、繰り返されているのは

共通しているのであろう。

自分の考えを持つ動物は数少ないであろう。

私たちのような人間の中にも、ごく稀に

自分の考えを持たない、または持ったとしても

言葉に出したり伝えることが出来ない。

そんな命もある。

私はこんな文章を書くことが出来ている。

もし今、私たちと動物の立場が反対であったら、

今の私はないであろう。

こうしてこの独り言を読んでくれる、そんな

あなたも存在しないのであろう。

今に感謝しよう。ありがとう。

こうして人間として、自分の考えを持ち、伝えることの出来る人間に産んでくれた。

ありがとう。

自分に命が宿っている。

ありがとう。

この幻の命を毎日守るのがなかなか楽しいのさ。

楽しみをありがとう。

ときに悲しいことがあるのさ。

悲しみをありがとう。

疲れることがあるのさ。

疲労と苦しみをありがとう。

達成感を感じるのさ。

喜楽をありがとう。

僕はこのゴミのように美しく混んでいる世の中が

大好きで大好きでたまらない。

考えることが好きなのだろうか、

こんなことを考えるのでさえ幸福に包まれる。

周りと違くても、同じでも、

女でも、男でも、吾輩らしく、

自分の特色をもって生きていこうと我氏の心が言う。

幻のような世界。

繊細さをありがとう。

この生命。

ありがとう。

みんな。

ありがとう。