しょの7「ジャングルジムの上で泣きじゃくる四歳のボク」について

食べ物の話をします。

(はぁ?ジャングルジムはぁ・・・?)


まぁ、まぁ。

慌てないで。


ゆる~い、エッセイなので。

暫らく、御辛抱を。


私、記憶力はいい方では、ありません。

人の名前なんか、中々、覚えられません、


でも。

何故か。


食べ物は。

よく、覚えています。


初めて食べたお菓子。

二歳の頃?


家の階段をハイハイのように、登って。

母の鏡台と、窓からの景色。

田舎の二階は遠くまで、見通せました。


そして、縁側のひなたぼっこ。

そこで食べた。


たまごボーロ。

甘かったぁ。


母の差し出す指ごと、ほおばって。

ポリポリ、と。


今でも、覚えてます。


初めて食べた、クッキー。

駄菓子屋のビスケットかな?


4歳ころ。

美味しかった。


話は、とんで。

初めての手作り弁当。


うちの奥さんと、付き合ってた頃。

テヘッ・・・・。(じゃ、ねぇ)


大根サラダ。

ホタテと、マヨネーズであえて。


今でも、大好物です。


さて、本題です。


進ボウヤは、保育園に預けられました。

四歳の頃です。


男の子は女の子より、頭の成長が遅いです。

いくら、母と保母さんが説明しても。


捨てられる。

本気で思いました。


「おがぁじゃ~ん・・・・。」

後ろ髪惹かれる思いで、振り返る母に向かって。


泣き叫ぶ、ボク。

「うぎぃえ~ん・・・。」


保育園中に。

ボクの泣き声が響いていたそうです。


「ススムちゃん、あそぼぉ・・・?」

お友達が囲んでも。


「ぎぇっ・・・うぎぇーん。」

泣きやみません。


そのうち。

多分、ジャングルジム。


保育園だから、小さいと思う。


そこに。

一日中。


「おがぁじゃーん・・・。」

「うぎぇーん・・・・。」


泣き叫んでいました。


涙と鼻水で。

口中、しょっぱかったです。


閉口した保母さんに事情を聴いた母は。

その日で、保育園をあきらめました。


母の手を握って帰る道。

満面の笑顔のボクに、母のタメ息。


今でも、覚えています。


「でも、さぁ・・・?」

ボクの奥さんが尋ねます。


「一日中って・・・。」

「お腹、空かなかったの・・・?」


「それは、ねぇ・・・。」

一日で保育園を退学させられた、今の僕。


少し、照れくさそうに。

「保母さんが、話してたそうなんだけど・・・。」


「お昼のチャイムが鳴って・・・。」

「その日は、フルーツ牛乳とサンドイッチ・・・。」


いつの間にか、お友達の横に。

チョコンと、座って。


「一緒に、ムシャムシャ、食べてたそう・・・。」

「なに、それぇー・・・・?」


「それで・・・。」

「その後、泣きやんだんだ・・・?」


「いいや・・・。」

「えぇっ・・・どうしてぇ・・・?」


「しばらくすると・・・。」

「又、ジャングルジムで、うぎぇ~んって・・・・。」


「だから・・・。」

「保母さんは、もう、無理ですって・・・。」


奥さんは、あきれて噴き出してしまいました。

クスクス、笑ってます。


おバカな四歳の頃の。

僕のお話です。


でも。

美味しかったぁ。


初めて飲んだ。

フルーツ牛乳。


今でも、覚えています。


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