第22話 自己紹介
アブソリュートとクラスメイトのいざこざは
担任によって静められた。
そしてこれからクラス始めてのHRが行われる。
「入学式でも紹介があったように俺がAクラスを担当するティーチ・トートだ。
剣技や格闘を専門に教えている。教師をやる前は冒険者をやっていた。こう見えて結構強いぞ?よろしくな」
ティーチ・トート
原作ではそんなに活躍しなかったよな
でも、さっきの私への反応を見る限りは公平な人物ではあるだろう
それに冒険者か。あまり関わったことのない職業だな。
この世界にはダンジョンはないが魔物は存在する。魔物を狩ったり、依頼に応じて何でもこなすのが冒険者である。
「じゃあ、次はお前らが自己紹介する番だ。一応言っとくがこの学校では身分による上下関係はない。あまり他人を卑下するような事を言うなよ?じゃあ端っこの奴からな」
ティーチに促されて1人ずつ自己紹介が始まった。1人ずつ無難にこなしていく中で時々原作キャラの紹介が始まる。
「ミカエル・ライナナだ。王族だが、学園ではフレンドリーにいこう。よろしく頼む」
アブソリュートには見せない笑顔で自己紹介をするミカエル。普段からやれよ!
「クリスティーナ・ゼンよ。魔法も勉強も女としても誰にも負けるつもりはないから!」
クリスティーナ・ゼン
ライナナ国の宰相を務めているゼン公爵の娘である。
原作では勇者に勝負をふっかけて敗北した後リベンジの為に何度も勝負を仕掛けてくるようになる。原作イベントにて初期に命を落とす。ちなみに現在はミカエルの婚約者候補になっている
原作での記憶はあんまりないけど、ゼン家は政治絡みで結構黒いからなぁ。結構危うい感じの娘だな。
そして勇者の番になる
「初めまして次代の勇者になるアルトです。
ライナナ国最強になって悪い奴らから人々を守るのが目標です」
一瞬こちらを見るが私は無視する。
「アリシア・ミライです。穏やかな学園生活を送りたいです。」
ほんの一言だが、どこか苦労を感じさせる
アリシア・ミライ
そして聖女の番がくる
「ライナナ教会から参りました。エリザと申します。皆様よろしくお願い申し上げます」
「同じくライナナ教会から聖女様の護衛に参りました。アーニャです。聖騎士をしております。」
聖女の護衛の名目でライナナ教会の推薦で何人か入学している。このクラスでもアーニャの他に聖女の護衛に2人聖騎士がいた。
「スイロク王国からきました。
レオーネ・スイロクです。第一王女やってます。」
レオーネ・スイロク
スイロク王国の王女であり留学の名目でライナナ国にいる。だが、本当の理由は別にあり国内が危機に陥っているので王女を避難させる名目で留学している。そして、それを解決するのが勇者である。つまりは、イベントである。このイベントをこなすことにより勇者に実績ができて国や学園での発言力が上がってしまう。なんとかこのイベントから勇者を遠ざけねばならない。
そうこう考えている間に次々と挨拶が終わっていく。
「最後だ、アークお前の番だ」
ティーチから促される。
そういえば、原作でアブソリュートは自己紹介を拒否してたな。私も拒否したいがそれはしない。これは原作の流れとの決別であり悪役としての宣戦布告だ。いっちょかますか!
「アブソリュート・アーク。私の道を邪魔する奴は誰であろうと容赦なく潰す。覚悟しておけ」
クラスの反応は様々だ。敵意、嫌悪、興味の視線が入り乱れる。だが私は、気にはしない。アブソリュートとして生まれ、彼の歩んできた人生をなぞってきた私は、もう覚悟はできている。原作で国や読者からは白い目で見られながらも陰では国を守ってきた誇り高い男のアブソリュート。ホントに尊敬するよ、でも最後には全ての罪を背負わされ負けた。
自分の為だけじゃない、これはアブソリュートの誇りを取り戻す闘いなんだ。
「はぁーっ、敵を作りすぎるなと言ったのに聞きやしない。」
その後、ティーチから学園の設備や授業スケジュール等が説明された。
「何か分からない事はあるか?ないなら、最後に明日はクラスの交流を兼ねて模擬戦をやる。全員、クラスの奴らの実力が気になるだろ?それにさっきもバチバチだったしな。良い機会だ、戦って分かり合え。」
入学式後のレクリエーションで模擬戦は勇者とアブソリュートが初めて対戦するイベントだ。これは勇者にとっては負けイベントであるが、この敗北をバネにさらに実力を伸ばすことになる。
「組み合わせはこっちで決める。1人1試合はしてもらうからな。予告しておくとまずは、アークとアルトお前達からだ。2人共かなり強いと聞いている。それに相手が勇者だからな、相手の命を奪うような魔法やスキルは使わない事。一応大丈夫だと思うが試合前に強化魔法を使うのもなしだからな?それでは、今日はこれで終了とする。」
HRが終了し、クラスメイト達も帰っていく
「アブソリュート様、先程の自己紹介はかっこよかったですが、わたくし達は貴方様が心配ですわ。あまりクラス内で敵を作りすぎない方が良いのではなくて?」
レディが心配そうに声をかける。近くにきたオリアナやミストも同じ事を言いたげな顔をしている。
「そうか…、だがこれは必要な事だった。」
心配は有り難いけど、今回は自分の為にどうしても言ってやりたかった。皆んなには迷惑かけるかもだけどちゃんと守るし敵には容赦しないから安心してくれ。
「…アブソリュート様、わたくし達は貴方様と一蓮托生です。ですが、わたくし達を守る為に自分にヘイトを集めるような事は止めて下さい。」
んっ?何か食い違ったな。
「貴方様がわたくし達の為に傷ついていくのがつらいのです。お願いですからもう少しご自身を大切にして下さい。」
あー、そう解釈したのね。どっちかというと君らにも迷惑かけちゃうから少し申し訳ないって思ってるよ。言わないけど
「勘違いするな、あれは私の為に言った事だ。……まぁいい、帰るぞ。他の奴らも待っている」
送りもアーク家が行う事になっているので、さっさと教室をでるアブソリュート。
その背中を目で追う3人。
「……オリアナ、ミスト、わたくし達のアブソリュート様を守るわよ。絶対に1人で戦わせないわ!」
レディの言葉に頷くミストとオリアナ。
「さぁ、いくわよ!」
急いでアブソリュートを追いかけ、帰りも賑やかに帰っていった。
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