第21話 原作開始

「それでは行ってくる。今日は入学式だけだからウルとマリアは先に荷解きを済ましておけ。明日から2人には共に学園に来てもらうからそのつもりでいろ」


「「承知しました」」


 ウルとマリアは返事をしてからすぐに作業に取り掛かる。


 アブソリュートは王都の学園に入学するにあたり王都にあるアーク家の別邸に移ることになった。

 そしてアブソリュートは待たせている馬車に向かう


 今日は入学式当日であった。



ライナナ王立学園

 ライナナ国の貴族は15才になったら必ず入学する規定のある3年生の学校である。 


 クラスはA〜Eに分けられ入学試験での成績を元に振り分けられる。


 また、貴族の他にも有名な商人の子や教会の推薦、貴族の後ろ盾がある場合は平民でも入学が可能になっている。


 特例で王族や勇者の末裔等は試験が免除されることになっている。



 この学園で重要なのが爵位と成績もとい実力である。

試験や授業内での模擬戦や筆記の成績が良ければ就職先や将来の出世、学園内のカーストに影響する。

 学園内での爵位による上下は基本的にはないが完全にとはいかない。もちろん派閥を超えての友情も中にはあるが基本的に連むのは同じ派閥の人間になりがちなのが現状である。


 そして今日は入学式という一大イベント開場してから新入生に準備や手伝いの為に来た上級生の姿も多い。

だが、生徒たちの視線が校門付近に集まる。


 そんな中校門の前に黒塗りの馬車が大量に並んで鎮座していたのだ。


 ある生徒たちが言葉を漏らす。


「あの馬車って確かアーク家の?」


 辺りがざわめきだしたところで馬車から人が降りてきた。それは威圧的な雰囲気を出しながらも体中から嫌悪感を感じさせる男だった。


 誰かがいった


「アブソリュート・アークだ……」



 アブソリュートがでた後、後続の馬車からぞろぞろと傘下の貴族達も降りてくる。アブソリュートを先頭にアーク家派閥が勢揃いする形になる。


 アーク家派閥が現れてから明らかにその場の空気が重くなったのが分かる。



 周りの者達には異様な光景に映ったアーク家派閥は上位貴族が少なく国の中では目の敵にされる存在だった筈だ。悪い噂があっても表立つ存在ではなかった筈なのに今は目が離せない。


 あの存在感は何なんだ⁈


「お、おい、アーク家の派閥ってあんなやばそうな奴らの集まりだったか?」


「噂ではアーク家はかなりヤバい組織の親玉って聞いたことあるけど…あの圧力もしかして本当なのかも」



 人垣が自然とアブソリュート達を避けていく。その場の空気はアブソリュートによって支配されていた。

アブソリュートはスキル『王の覇道』で周りを少しだけ威圧して重い空気を演出したのだ。

 アブソリュートという絶対的な強者とその傘下の者達を印象づけるためにこの催しが行われた。


 まずは第一印象が大事だ。決して舐められてはいけない。私がいる時なら叩きのめすが、私がいない時に目をつけられては傘下の者達を守れない。

 だから、示さなければならない。アーク家の結束をこの場で。アーク家派閥に手を出そうと思わせない

ように。



「アーク家の派閥にはあんまり近づかない方がいいかもな…」


「あぁ、同じクラスになりたくねぇよ」



 その甲斐もあり、この場にいた者は刻まれた。アブソリュート派閥とそれを率いるアブソリュートの事を。






 入学式は学園にある講堂で行われた。席は決まってなかった為に後ろの席をアーク家で埋めた。


 クリスが横で話しかける。


「さっきは凄く見られてましたね。まさか、あんなやり方で周りを牽制するなんて思いませんでした」


 私はそれを鼻で笑う


「牽制だなんて大袈裟な言葉を使うなクリスよ。私達はただ共に登校しただけだ、そうだろう?」


「あんなに殺気を振り撒いといてよく言え

ますね。貴方って人は…」


 クリスや周りの者達も苦笑いしているがアブソリュートに感謝と羨望の視線を向けているのが分かる。

 彼らはアブソリュートが自分達の為にあえて牽制してくれたことを理解しているからだ。


「ありがとうございます。アブソリュート様」


「ふん、知らん」


 代表してお礼を述べるクリスだが

アブソリュートはそれを受け取らないいつものやりとりを続けるのだった。



 そして入学式が始まった。始まってからは不備もなくスケジュール通りに進んでいく。

 校長や教師の紹介等が行われて最後に新入生の紹介が行われる。


 代表は王族であるミカエルだ。


「校長先生、教師の皆様温かい歓迎の言葉ありがとうございます。私達はライナナ国の者として恥ずべき所の

ない人として成長できるようにこの学園で学ばせて頂きます。

そして今後もライナナ国を共に支えていく仲間達との仲を深め、どんな悪にも負けないよう強くなってゆきたいと思います。

これから三年間よろしくお願いします。


新入生代表 ミカエル・ライナナ 」



ミカエルの代表の言葉が終わり拍手が湧く私も拍手をするが、私はミカエルの言葉が


『学園で私の支持者を集めてアブソリュートを潰して、王太子の座に返り咲く』


という意味に聞こえた。


 席に戻るミカエルと目が合うミカエルは憎しみのこもった目をしていた。その目を見て確信に変わる


 王太子の座から降ろしたから安心していたが

まだミカエルは諦めていなかったか……。勇者に聖女、それに元王太子に原作イベントか…いいぜ、迎え打ってやるよ。


最後に生き残るのは


アブソリュート・アークだ!





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

皆様いつもありがとうございます。


この度、10万PV並びに

異世界部門ランキング9位

フォロー数1500人

達成しました。


驚きと同時に嬉しさでいっぱいです。

本当にありがとうございます。


これからも『悪役貴族に必要なそれ』を

よろしくお願いいたします。


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