*第7話 精霊と嵐

カ~ラ~ダ~中の♪

ゲロを~集めてっ♪

吐き戻~ど~せっ♪

嵐~♪嵐~♪

おぉ~えぇ~~~ゲロゲロゲロゲロ~~~


揺れるよぉ~~~

跳ねるよぉ~~~

怖いよぉ~~~


死ぬ~~~


「ハ!ハニー様ぁ~!もう限界です~~~!」


大しけだ!

波の高低差は数十メートルあるぞ!

オージーちゃんが居無ければ、とっくに沈んでるよ~


「いやぁ~こりゃ持たないかもね~」

「何を呑気な!うっぷ!おぇ~~~ゲロゲロゲロ~!」


もう胃液しか出ないよ~

あっちこっちから海水が入って来るし、

やっぱり無理なんだよ~この船じゃ~


「信じた私が馬鹿だったよぉ!

精霊様の言う事だから大丈夫だと思っていたのに~」


「あはははは~ごめんね~」


バキッ!バキッ!ゴキッ!

何か嫌な音がしたぞ!


「うわっ!み、水が!」

「おぉ~沈んでるね~」

「た!助けて!死ぬ~!」


「仕方が無いなぁ~

オージーちゃぁ~ん、イリュパーをお願いね~」


グオォォォ~~~はぁ~い、了解~い

え?え?え?ぎゃぁ~~~!バリバリ~!ぐわぁ~!パクッ!


壁を突き破ってオージーちゃんが頭を突っ込んで来た!

パクっとイリュパーを咥えて船の外へ。

あっと言う間に船は沈んでしまった。


「もう・・・駄目・・・」

イリュパーは気を失った。

まぁ、その方が良いかな?


***


夜空を埋め尽くす星のまたたき。

銀河を物語る天の川。

あぁ・・・世界は美しい・・・


「どうするんですかぁ?」


嵐の過ぎた大海原に浮かぶ黒い影。

オージーちゃんの背中の上で途方に暮れる。

挿絵:https://kakuyomu.jp/users/ogin0011/news/16818093077979638649


「とりあえず~近くの島へ行こうか~」

「在るんですかぁ?近くに島なんかぁ。」

「在るよ~あっちの方に~」


適当だなぁ~

イリュパーは人間だから水が無いと死んじゃうよ?

体力も消耗してるし、あんまり余裕は無いよ?


「喉乾いたな・・・」


魔法が使えたらなぁ~

手のひらから出せるのになぁ~


「水が欲しいの?」

「はい・・・喉がカラカラです・・・」

「なぁ~んだ~早く言えば良いのに~」

「有るんですか?水!」

「無いよ~」

「このっ・・・・・・」


「馬鹿野郎!」って言いかけたよね今。

眉間にシワが寄ってるよん。


「ガンモちゃぁ~~~ん!」

コケ~~~ッ!パサパサパサッ!


十二支精霊のとり

ガンモちゃん!

この子もエルサーシアの契約精霊だった子だ!


「イリュパーが喉乾いたって言ってるから水を汲んで来てあげて~」

コケッ!了解!


ピュ~~~っと何所かへ飛んで行った。


「い!今の何ですか?!」

「十二支精霊のガンモちゃんだよ~」

「ジュウニシ?精霊様なんですか?」

「そうだよ~オージーちゃんも精霊だよ~」

グオォ~~~そうだよ~


マジかっ!

精霊様の背中に乗っかっているのか!


「それならそうと早く言って下さいよっ!」

「本当に怒りっぽいね~イリュパーは~」

「誰のっ・・・もういいです・・・」


怒ると疲れる・・・

もうそんな元気は無いよ・・・


しばらくするとガンモちゃんが戻って来た!

タップンタップンのお腹で・・・

まさか・・・


ぴゅるるる~っとクチバシから出る水を微妙な気持ちで両手で受ける。

(この方は精霊様 この方は精霊様)

心に言い聞かせた。


あぁ・・・命の水だ・・・


***


三日間をただよい続けた。

食べ物と水はガンモちゃんが運んで来た。

いったい何所から?


「すぐそこに島が在るって~そこから持って来てるんだってさ~」

「じゃぁそこへ行くんですか?」

「うん、そうだよ~」

「あとどれくらいですか?」

「そろそろ見えて来るころだね~」


程なくして島影が見えた。


「ほら~あれだよ~」

「やっと・・・着いた・・・」


無人島に・・・

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