『一円に泣く』

石燕の筆(影絵草子)

第1話

中林は、借金苦で首が回らない。


だが、犯罪で金を工面しようとした。


借金と同額を返そうとジェラルミンケースを開ける。


借金を数えていたが、


小銭があと一円足りない。


実は、先ほど落とした一円があった。


一円くらいならと拾わずに見逃したのだ。


金貸しのヤミ金の男が、どうしたのかを聞いた。


『一円が足りないんだ、まけてくれません?』


埠頭の倉庫に銃声が一発。


『一円さえあれば』


そう言いながら血を流し息絶える中林。

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『一円に泣く』 石燕の筆(影絵草子) @masingan

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