この素晴らしい楽園に青春―アオハル―を!?《このすば120%ギャグリメイク》

ぴこたんすたー

第1章 異世界転生と使えないメンバー

第1話 この駄女神と異世界転生を!!(1)

 よう、よい子のみんな、今日もいたずらに夜更かししてるかい?


 俺の名は佐藤和真さとうかずまこと、カズマ。


 16という若い身でありながら、ひょんなことから死んでしまい、異世界に転生してしまったクールビューティフル(自称)な男子だ。


「ちょっと待ってよ。カズマ。いかにも私この世界に生まれてきて正解みたい~♪ なキモい顔してるわよね?」


 この水色の髪と瞳をして、失礼な発言をしてくるのは見かけは美少女、中身は駄女神だめがみのアクア。


 いかに天を司る上級天使のような肩書きを持っていても、こんな異世界に連れてきて、ちっとも役に立たない女神など駄女神で当然だ。


「大体、カズマが転生した時に、あなた、私に何を言ったのか覚えてる? 一つだけ好きな願い事を叶えてあげるって言ったら、私の脱ぎ立てのパンツが欲しいとほざいたのよ。

その場では恥ずかしくて一緒についてきたんだけど、これじゃあ私も痴女ちじょみたいだし、二人揃って変態道中まっしぐらじゃない!!」


「だってさ、赤ちゃんになったらいいとか、末永く天国で暮らしていいとか、面白味がないだろ。どうせ死んだなら法律は適用されないんだし、セクハラ紛いのことをやってムッハムッハとやりたいじゃないか」


「キャー、ムッハムッハとか、もろセクハラよ。あなた何を考えて生きてるのよ!?」

「いや、もう俺、あんたの言った通り、死んでる身だから」


 そう、元引きこもりでゲームオタクだった俺は久々に外出し、新作のラブリーきゅんな美少女ゲームを購入したルンルンスキップ帰りに車に跳ねられそうになっていた女子高生を助けて……現実世界であっけなく死んだ。


「その車がおじいちゃんが運転していたトラクターだったのよね」

「俺はてっきりトラックとばかりに」


「まあ、ゲームのやり過ぎで幻覚を見たんじゃわけないわ。しかも跳ねられそうになった女子高生相手に余計な怪我までさせて。

さらに死因は轢かれたと思い込んでのショック死。本当、おかしすぎて笑えるわ。プー、クスクス。お腹イタイーw」


「そんな至らん言葉をほざくのはこの口か?」

「んんっ、もがもが!?」


 俺はゲラゲラと品なく笑うアクアの口に露店で貰ったジャイアントトード(カエルのモンスターらしい)の唐揚げをぶちこみ、コイツが言っていた情報収集ができるギルドに行くことにした。


 いくら試食とは言え、こんなカエルの肉、生臭くて食えるか!


 ──この世界には魔王という相手が世界を征服してやると目論んでいて、村や街などの住民たちは、その魔王の強引な部分に非常に迷惑しているらしい。


 だから、この異世界では魔王と手下たちに対抗するため、冒険者となって将来的には魔王を討伐することを目的としていた。


「全く暇人連中が。家に帰って大人しくゲームでもしていろ」

「カズマ、この世界にはTVゲームとかいう代物は無いわよ?」

「そんなお前の頭にゲームの配線を繋げてやりたいよ」

「本当変態ね。いかにもヒキニートらしい発言だわ」

「いや、挽き肉はごめんだな。クソビッチ」


 俺はそんなノリの悪いアクアをその場に捨ておき、冒険者ギルドへと道場破りのように殴り込みをかける。


 誰か、この漫才でも使えない天使を高額で引き取らないかと。


ひどーい、使えるだけ使って、あげくには人身売買なんて!!」

「リサイクルに出したら少しはマシになるかも知れないだろ。すみません、そこのギルドのお姉さーん!!」


「はーい。初めての旅立ちの街のアクセルへようこそ。今日はどのようなご用件でしょうか?」


 俺はとびっきりの美人がいる店員に一声をかけて、この口やかましい粗大ゴミの引き取りを頼むことにする。


 こんな癒しの魔法しか使えない駄女神なんぞ、さっさと売って、その金で美人の姉ちゃんと豪遊した方がさぞかしマシだ。


 俺はここの異世界で身も心も鬼となった。

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