最終章(最後の四天王&ついでの魔王編)
第36話 いきなりかよ。
-side アラン-
「うおっ…!!こ…ここは?どこ…だ?」
「この感じ…多分、デビルマウンテンだワン。」
飛ばされたのかよ。
たしかに、ゲームのステージ解放はこんな感じなのかもしれない。
「しかし…デビルマウンテンというと魔王がいるところか。」
「そうだワン。多分ここに最後の四天王と魔王がいるワン。」
おお…。そういえば、お前本職はサポートキャラだったな。
最近は特にサポートしてくれてる感じもなかったから忘れてた。
「デビルマウンテンは悪の秘密結社の奴らが住む山として有名だワン。
ここの山に入った人は今までいないと言われているワン。」
「入ってきた人ではなく、入った人がそもそもいないのか?」
「そうだワン。みんなが恐れすぎて、入らなかった悪魔の山だワン。」
せめて誰か入ってくれよ…。
「さて、それはそれとして、はやく先へ進むワン。どちらにせよ魔王を倒さないとこの山から出られそうにないワン。」
「あ…ああ。待てよ?
俺たちだけなのか?ここへ来たの?ウィリアムとかは飛ばされて来そうだが。」
「確かに。そういえば、そうだワン。まあ、気にしても仕方がないから放っておくワン。」
「それもそうだな。」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
その後俺たちは、飛ばされた場所の出口を見つけたので出ることにした。
「出口の外にトラップは無さそうだな。」
「ワン」
ガチャン…。
俺たちが通った扉は再び入れないようにロックがかかった。
…なんというか、親切だな。意外と。
迷わないようにしてくれているみたいだ。
しばらく、何見ない道を進んでいると再び似たような形をした出口が見えた。
「こちらも、何も無さそうだが、とりあえず入ってみるか。」
「ワン!」
恐る恐る入ってみると、そこには巨大都市があった。
大きな建物にたくさんの人々。
よく見ると中には魔族達がいる。
「うおっ…。これは…どーするよ?敵の本拠地ど真ん中だけど。」
「戻る扉も塞がってるということは、正面突破するしかないワン。行くワン。」
俺たちは戦闘体制で中に入ろうとする。
「よおよお。攻略者さん達。」
門を破壊しようとした時、中から白髪にオッドアイの魔族が現れた。
見たらわかる重要キャラ感。
しかも、声までやたらいいし。
こいつ絶対…。
「お前は…?」
「お、俺?俺はただの魔族だぜ?
な?門番。」
「そ、そうでございます!」
はい、重要キャラ確定ー。
しかも多分四天王だろこれ。
どう考えてもモブキャラ感はないぜ。
イージーゲームだな。
しかし…どうするのが正解なのか。
いきなりあえてラッキーではあるが。
「お前らは、なんでここに来たんだ?」
「あ…ああ。俺たちは、その、お前を倒そうと思ってな。
その…弱いから、一番最初に戦えって言われたんだ…。」
…これ馬鹿にされているやつか?
まさか…気づかないとでも?
だとしたら、鈍感系敵キャラか。
仕方ない。
「まあ、確かにまさか最初から四天王がこんなところ来るわけないだろうな。」
「あ…!?ああ…!もちろんだ。」
「まあ、来てるの分かってるんだけどな。」
そう言って俺はオッドアイをぶん殴る。
「は…?」
ふっ。これぞ完璧な手のひら返し!
「どっちが悪役かわかんないワン。」
「フハハハハ…!!騙されると思ったか!四天王!バレバレなんだよ!」
「な、なんだってーー?」
お…?
ん…、んん…?
なんか、えらい棒読みなんだけど。
「まさか…、驚いてない…だと?」
「ああ。だってよお。もうこんなところでダラダラしてるのはうんざりだぜ。
早く魔界に帰ってぐーたらしてえ。」
「どっちにしろ、ぐーたらしてないかそれ?
新種の構文また生み出してないか?」
「家に引きこもってぐーたらは仕事だからセーフだろ。」
「アウトだな。それにしても…だったら、倒してもいいのか?」
「おう、早く俺をベッドに連れてってくれー。」
「…。お、お、おう。」
あまりにもあっさりして俺の方が動揺してしまった。
こうして、相手の許可?というか相手が進んで倒されたがっていたので、できるだけ苦しまないように、終焉の業火で焼いた。
「どっちにしろ、終焉の業火で焼いてるからそこまで大差はないワン。」
「そこはこう…気持ちの問題というか。
はあ…しかし倒しがいのねえ奴だったな。
経験値的には四天王で確定だが。」
「それは仕方ないワン。そもそも、四天王全員やる気なさすぎだったワン。」
「確かに。思い返せば、
ピエロの引きこもり、山に引きこもっていた貴族、研究室に引きこもっていた博士、引きこもりダラダラ四天王。
…って四天王全員引きこもりじゃねえか!」
「そうだワン。そもそも魔王もデビルマウンテンから出てこない時点で確定だワン。」
乙女ゲームに限らず、ゲームの作り込まれていない部分。
裏でゲームの面白さを支えてくれているキャラはこんな感じらしい。
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