第4話 戦いに慣れさせよう

-side アラン-




 翌日。今は入学試験を受けるため、みんなで学校に向かっている最中である。

 あの後、全員の戦力強化のため、俺が直々に全員を鍛えようと魔物狩りに一緒に行こうとしたが、


「入学試験一緒に受けてくれないの?(うるうるうる)」

 と、謎の擬音語で俺を威嚇してくる小悪魔系攻略キャラBことノアの、純粋無垢な泣き声という攻撃が急所に当たり俺はあえなくダウンした。


 このノアという少年、普段はおとなしいのだが、たまに攻撃してくる時、誰よりも鋭い攻撃を俺に喰らわしてくる。

 連続で攻撃してくる割に威力低めの王子より全然厄介な存在だ。警戒しているんだが、防御をすり抜けてくるんだよな。



「しかし、平和なものだなあ。魔物もいないし。」


「ヒロインちゃんといる時はいっつも魔物に襲われていたしね。」


 なんやかんや、公爵領や王都の外に行く時は大体ヒロインと一緒に行動していたため、いつも魔物が襲ってきたのだ。

 魔物ホイホイがいなくなってみんな退屈そうである。



「…!お、この近くにホワイトタイガーがいるな。誰かが襲われているぞ!」


「…な、なんだと!?だが、迂回しよう。」


「へ…?なんで?(美味しい経験値だぞ?)」



「この前のホワイトタイガーのこと忘れたのか?Bランクの超凶悪な魔物だぞ。襲われている奴らには悪いが俺たちには無理だ。

 あれ?そういえばあの時なんで俺たち助かったんだ?」


 Bランクで超凶悪?ただの雑魚でしか無いという認識なのだが。

 でも、ウィリアムが言うなら彼らにとってはそうなのだろう。

 冷静に自分の実力を判断して、無理だとわかったら素直に戦わずに逃げる選択ができるのは流石王族である。


 というか、あの時ウィリアムはしばらく放心状態だったからな。俺が倒したことも覚えていないのだろう。



「アランが瞬殺していたね。」


 ノアはしっかり覚えていたようだ。



「そ、そうか。流石アランだな、感謝する。だが、俺たちには無理だ。あんな化け物の相手なんて。」


「大丈夫だ。戦っていれば慣れる。それに、俺がついていれば安全だろう。(丁度いいし、この機会にみんなを鍛えよう。フハハハ。)」


「そ、そうか。アランが言うんならそうなんだろう。なら、行くか。(一瞬強烈な寒気がしたが、気のせいか?)」





  ♢ ♢ ♢ ♢ ♢





 というわけでみんなで、助けに行くことにした。


「兵士とホワイトタイガーが戦っているな。半数以上の兵士が既に死んでしまっている。

 早く助けないと中に入る奴がやられてしまうだろう。」


「ねえ。というか。あれ、ブラウン公爵家の紋章だよね。」


「確かに。早く助けないと。」



 ブラウン公爵家は悪役令嬢の家だ。悪役令嬢もヒロインと同様に魔物ホイホイの体質がある。

 今回は10匹のホワイトタイガーをホイホイしていた。2匹は既に倒れている。



「ふむ。じゃあ、試しに3匹くらいと戦わせるか。“チェイン”」


 チェインの魔法を唱えると、鎖が出てきてホワイトタイガーを捉える。

 束縛魔法のチェインは今回のように複数の魔物を相手する時便利だ。



「今からこの猫と戦ってみろ。大丈夫だ。

 チェインの魔法でがんじがらめにしてあるから、一定の距離から魔法を撃っていれば、お前らが死ぬことはない。」


「ほ、本当か。“ファイヤーボール”」



 ウィリアムが魔法を放つと3人もそれに倣って魔法を放ち始める。


「うーん。この前も思ったけど魔法の威力若干弱いような。まあ、こればかりは打ちまくって魔物倒すしかないか。

 それより、後の5匹を倒してしまおう。“破滅の光”。」


 破滅の光を唱えると、5匹のホワイトタイガーの頭部が破裂する。

 魔物は動物と同じで頭を破壊すると、効率よく倒せるのだ。



「大丈夫ですか?」


「ひいっ。化け物、く、来るな。」


「化け物?まだそんな奴はいるのか?どこだろう。(ニヤリッ)。」


「ひいっ。」



 バコンッ。メキッ…。


 その時、聞いてはいけない音がして、兵が倒れる。見上げると、



「バカね。よく見なさい。その方はアラン公爵閣下よ。」


 悪役令嬢がいた。





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