第3話 星尾真実
さぁ初仕事だ!!
振り返ると、子供を連れた親はいなく、
一人の40代くらいの男が立っていた。
「すみません、ここは小児科なんですが、
どのようなご用時ですか?」
「いえいえ、
あなたに用があって来ました。
私、こうゆうものです。」
男がそういい、警察手帳を見せた。
うわあ初めて見るなぁ。
ってそうじゃなくて。
「警察が何のようですか?」
「いやいやそう動揺しないで下さい。
あなたは何もしていないじゃないですか。
していたら話は別ですけどね。
はっはっは。」
何がおかしいか分からないが、
とにかく怪しい人にしか見えない。
「別に私はなにもしていません。
用件はなんですか?」
「あらら、固い男だなぁ。
もう少し話しましょうよ。」
ギクッ。僕の一番気にしていることだ。
ここで練習した方がいいのか?
いや、でも相手は警察だ。
真面目な方がいい。
「あいにく来たばかりなんです。
ここについては詳しくありませんし、
面白い話もありません。」
「そうです。ここについての、
話をして来ました。」
「新東村についてのですか?」
「はい。ここのルール知りませんよね?」
「ルールですか?」
「はい。ここには警察でも歯が立たない
ルールがあります。」
「警察でも歯が立たない!?
そんなものを作っていいはずがない!!」
「そう思いますよね。
でも、これはもう決まったことです。」
「誰が決めたんですか?」
「総理大臣です。」
「はぁーーー!?
なんで、総理大臣がそんなことを
許可したんですか!?」
「そう私に怒鳴らないで下さい。
これはね、
白神家が決めたことなんです。」
「白神家がですか?」
白神、その単語で頭にあの少年が出てきた。
確か童心君は名字が白神だったな。
「そうです。白神家はね、親御さんが
政治に出ていて、極秘で総理大臣に
お願いした、という話をよく聞きます。
詳しくはわかりませんが、
この村の長であることは
間違いありません。」
なんだそのおとぎ話のような話は。
「ルールについて詳しく。」
「ルールというのはですね。
・1.入居、引っ越しの際は白神家に行く。
・2.勝手に通販を呼んではいけない。
呼ぶ際には白神家へ連絡。
・3.許可なく、警察を呼んではいけない。
・4.格闘技をしてはいけない。
・5.一人一個の護身銃。
山での発泡練習を許可する。
ただし、誤って人を撃った場合、
白神家は責任を取らない。
・6.このルールを破った者、
白神家が制裁を下す。
というところですかね。」
「なんですかその理不尽なルールは。」
「でも決まったことなんです。
それに事件は一度も起きてはいません。
警察も暇で暇でしょうがないんです。」
事件は一度も起きてはいないということに、
少しは安心した。考えてみると、別に普通に生活したって不自由な所はひとつもない。
ただ…
「なんで護身銃が必要なんですか?」
「さあ、それについては分かりません。
でも、海外だとよくありますよ。
護身銃。」
といって、銃を出した。
金属光沢のある紛れもない本物だ。
「まあ私から言いたいのは、
あまり白神家に、
関わらないということです。」
「なぜですか?」
それは、あの少年と関わるなということだ。
「おや?話をよく聞いていませんでしたか?
このルールを作ったの白神家ですよ。」
そういえばそうだ。
でも、あいつはそんなことするとは
思えなかった。
「わかりました。今日の所はこの辺で
いいですか?」
「はい、ありがとうございます。
長話してスミマセン。
でもあなた、結構話せるように
なったんじゃないですか?」
そういえばそうだ。こんなに話すのは、
久しぶりだ。
「どうして、話すのが苦手だとわかったんですか?」
「はっはっは。顔にでていましたよ。
では私はこの辺で。」
といって立ち去ろうとした。
「……おーっとっと!!
自己紹介を遅れていました。
私、
こんな名前ですが男ですよ。」
といって手を差し出した。
「
そういって握手した。
「ではまた。」
そういって診療所を出た。
僕は部屋へ戻って椅子に腰を掛けた。
今日はいろいろあったな。
ため息つきながらそう思った。
休憩していると、
コンコンッ
ノック音が聞こえた。
一体誰だ?
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