田原総一朗VSヤリサ―軍団ANS。街の掃きだめは許さねえ。超絶バトルの開幕!~PART1~
小林勤務
第1話 登場
明日は初めて彼とデートだ。
前から、いいなあと思ってたけど、勇気をもって告白したら、向こうもわたしのことが好きだったみたい。
どうやら……両想いってやつ。
うれぴすぎて、思わず目ん玉がマンガみたいに飛び出しそうになっちゃった。
明日は、無難に映画を観て、そのあと近江ちゃんぽんでも食べて、お腹が膨れたところで彼の家に……。
うーん。考えただけで、体が真っ赤になっちゃうううう。
「あれ~、なんかニヤニヤしてるけど、おねーさん、いいことでもあったの?」
げ。目の前には、どうあがいてもかっこよくないヤンキー。
ちょっと、もしかして分不相応にわたしをナンパでもしようとしてるの。
はあ~、これだから身の程知らずは。こう見えてもわたしは、早稲田大学第一文学部の弁論サークルで女子人気投票12位だったし。あんまり、軽くみられるのはご勘弁。
無視無視。
こういう輩は無視に限る。
「ちょっとちょっと、無視しちゃってか~わい~」
「なになに、あれ~短いスカートなんか履いちゃって、もしかして誘ってるのかなあ?」
「おいおい、俺も混ぜてくれよ~」
無視して通り過ぎようとしたら、どんどん路地からヤンキーの仲間が増えてきた。リーゼントであったり、スキンヘッドだったり、その数、10人。
こ、こいつら、もしかしてここ最近、女の子にいたずらばっかりしているヤリサー軍団「ANS(朝まで生が好き)」じゃん。
やっばい。早く逃げなきゃ。
と、慌てて踵を返そうとするが、すぐにヤンキーが進路を塞ぎ、あっという間に囲まれてしまった。
「おにーさんたちと楽しいことしようよ」
ねえねえと下卑た笑いで近づくケダモノたち。震えて、声も出ない。一人のヤンキーがわたしの肩に触れた時、わたしの恐怖はピークに達した。
だ、誰か、たすけて……
すると、次の瞬間――
ボゴンと鈍く低い音とともに、わたしの肩を触ったヤンキーが宙を舞った。
いや、舞うという表現が生温いかのように、男は血しぶきとともに勢いよく吹っ飛んだ。
「んだ、てめーわ!」
ヤンキーと一緒に、涙目のわたしもその正体に目を向けた。
「おいおい、せっかく生放送明けで疲れてんのにこんなクズどもを相手にしなきゃなんねーとはな」
どこか少年を思わせるボブヘアー。光り輝く銀髪。そして、どこかチャーミングに下がった目尻。
「お、お前は……」
そう――彼の名は。
「俺か? 田原総一朗だよ」
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