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みゆたろ

第1話  告白

 私は久しぶりに、春男に誘われて二人で食事に行った。

 景色のいいレストランだ。

 夜の街に色とりどりのライトが散らばっている。

 いつものラフな服装ではない春男がそこにいた。多分これまでで初めて見るスーツ姿……。

 少し緊張しながら、食事をしていると突然、春男が口を開く。


「なぁ有希、これからは俺、ちゃんとするから……俺と一緒に暮らさないか?」


 そう言われたのは、今年の初めの事だ。

 10年以上も付き合ったり、別れたりしながら離れられなかった恋人(山田春男)から突然プロポーズされた私。


 顔が赤面しているのは、顔のほてりで分かった。


 これまで春男は、女にだらしなく、他の女と食事をしているところだって、私は何度も目撃している。

 それと金銭面がだらしない……。

 ウソか、ホントか?春男を信じるしかないけれど、春男の親の入院費、そしてそれ以外にも、何度もお金を貸している。だけど、これまで一度だって返ってきた試しがない……。

 それなのに……どうして私は春男の言葉を信じてしまったのだろう。


 まさか、こんな風になってしまうなんてーー。


 思い出せば、他の女と食事をしていたのを、目撃した時私は今にも殴りかかりそうな勢いで春男のことを追いかけた。

 当然だろう。

 付き合っている男が、別の女と食事をして、私が貸したお金で支払っているのだ。

 私との食事の時は、いつも私が払っているのに……。

 

 過去のそう言う不満が残ったまま、色んな相手と付き合ってみた結果、春男からのプロポーズと言う嬉しい展開になった。


「うん」


 私は迷わずにそれを受け入れた。

 これから春男の事を愛せるのは私だけ……のはずだった。

 いくつものバイトを掛け持ちして、借金を返していた私は、仕事に追われるだけの毎日だ。おそらくそれはこれからも変わらないだろう。

 借金が返し終わるまでは……。


 春男との約束。

 

 毎月の給料は私に入れる。

 浮気はしない。


 一緒に過ごす条件として、私はそれを提示し、春男もそれに納得した。

 ブラックリストに載っているのか?

 春男では住宅ローンも通らず、私の名義でアパートを借りる事になった。


 その一ヶ月後。

 私が家に帰ると、驚きのあまり大きな声をあげる。

 

「おかえりなさい」


 そう言ってまだ若い女の子が私を出迎えたのだ。

 

 「ーー誰?!」


 あたりを見渡すと、ジャーという水の流れる音がして、トイレから出てきた春男が目に映った。


「この女、誰だよ?!」


 冷静さを欠いた私は、春男に聞く。


「誤解だって……冷静に俺の話を聞いてくれ!!」


 無理だろう。こんな状況で、冷静に話なんて聞ける訳がない。

 私はそのまま家を飛び出した。


 



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