終章 過去最速クラスの依頼解決

 女優の大原 愛奈はすっかり輝きを取り戻していた。


 そして、大原さんは恵令奈と日向と紫音に、

「私には今日、親友が三人もできた。親友が頑張っているんだから、私も頑張るね?」

 そう言うと荷物をまとめて今日、東京に帰ると言ったので、


「ひなちゃん。彼女を駅まで送ってあげてね?」俺が言うと、


「恵令奈先生は?」と聞かれたので、


「私と紫音は宮元さんに依頼完了報告してくるよ。」

 彼女が動くんだから、私たちも動かないと。


 そして、私たち四人は京都駅までは一緒に行き、それから俺と紫音は二人と別れ、地下鉄で北へ向かった。


「すまない、紫音。今日は残業だ。」俺が謝ると、


「私たちにしか出来ない、仕事だもん。大丈夫だよ。」理解ある娘だ。


地下鉄の駅を出て、少し進んだら、

「待っていましたよ。愛奈を救ってくれてありがとう。」

 彼女は大原さんが心配で見てくれていたみたいだ。


「あれで良かったのかは分かりません。だけど、彼女にはもう、私たちが付いているから、大丈夫ですよ。」俺は彼女を安心させた。


「そうみたいね。じゃあ、連れていってもらえるかしら?」

 彼女の旅立ちの時がきた。


「お姉さん、坂を登り始めたら、振り返らないでくださいね。」

 紫音のその言葉に彼女は微笑んで、ゆっくりと旅立って行きました。


その後、紫音を家まで送り、白河家に行くと、

先に日向が着いていて未央と話し込んでいた。


「あっ、恵令奈先生、もう終わったの?」

 彼女が迎えに来てくれていた事を話すと、


「霊って移動が出来るんだ~。」日向は感心しているようだった。


話を聞いていた未央は、

「私とひなちゃんには見えないから、私たちは霊が見えない友達なの。」

 普通は見えないからね。理由はともあれ仲良くなってくれると嬉しいよ。


その後、私と日向は社長と本郷くんに依頼完了報告をしていた。

「依頼の難易度を考えたら、一日で完了まで行くとはな~。過去最速の理由は何なん?」社長が驚くレベルだった。


「今回はひなちゃんの論理的思考と行動力、情報収集能力が依頼を一瞬で解決する理由だと思います。」

 ガチの探偵を雇うとここまで上手くいく事にびっくりした。


「探偵やってたのは大きいな。霊が見えへんのにひなちゃんはスゴいな~。ええ子雇ったわ、ホンマに。」

 社長は仕事が早いのが好きみたいだった。


「これも恵令奈先生の教えの賜物です。」

 彼女に何か教えたかな?注意しかしていないと思うのだが…。


「そうか、まあこの調子で頼むわ。遅い時間まですまんな、お疲れ。」


もう、夜も遅いので社長と本郷くんに挨拶をして未央にも挨拶をして帰った。

二人でしばらく歩いていると、


「恵令奈ちゃん。久しぶりだね。」(げっ、岡崎さん。)

 一番、会いたくない人に出会ってしまった。


「恵令奈先生、知り合いの方ですか?」日向に聞かれたので、


「夜道に現れた、ただの変態だから、ひなちゃん…無視しよ。」

 俺は日向を連れて逃げようとしたのだが…。


「つれないな、一緒に依頼をこなした、仲だろ?」

 俺はどっちでもいいけど、恵令奈が嫌がっているんだよ!変態が!


「恵令奈の体が怖がっているので離れてくれませんか?」

 体の拒絶反応がスゴいんだよ。悪寒が止まらなくなってきたよ。


「恵令奈先生をいじめないでください、変態さん。」

 日向が岡崎さんの前に立ちはだかった。


彼がしばらくじっと、日向を見ていると突然、

「君。スゴいね!とてもいい魂の色だね。どう?これから僕と星でも見ながら、語り合わないか?」

(あれ?ひなちゃんにターゲットが移ったよ…何でだ?)


「良いですよ、楽しませてくれますよね?大人のお兄さん。恵令奈先生、そう言う事なので、先に帰っていてください。」

 まんざらでも無いのか、日向よ。相手は変態だよ?


「恵令奈ちゃんこの子、借りるね~。」

 岡崎さんが日向の手を取り、どこかへいってしまった。

(人の好みとは分からないな~。岡崎さんのどこが良いんだ、見た目?)


少し心配だったのだが、家に帰ってのんびりとしていると、電話がなった。

「あっ、恵令奈先生。日向です。迎えに来てくれませんか?」

 事情が分からないのだが、


「迎え?岡崎さんは?」情報が足りなさすぎて、謎過ぎるよ?日向。


「未成年者を連れ回した疑いで、警察に連れていかれました。」

(ああ~。仕方ないよね…。あんな格好の女の子を連れてたら…。)


 俺は再び、教師っぽい格好に着替えて、日向に言われた、交番に向かった。

現場に行くとシクシク泣いている風の日向とお巡りさんがいた。

(女になって分かったが、うそ泣きって言うのが本当に分かるんだな…。)


「恵令奈先生、怖かったよ~。」うそ泣き中の日向が抱き付いてきた。

 君は何をしている?もしかして彼をはめたのか?


「あなた、この子の担任?」警察官に言われたので名刺を見せると、


「あ~。あの、探偵社の方…で、どんな関係なの?」

 教員をしていた時の教え子で、今は預かっていると説明したら、あっさりと日向を引き取れた。この探偵会社の信用度が半端無いな。

(同僚とは言えないよ。会社に傷がつく。)


帰り道にうそ泣きしていた日向が、

「女の武器ですよ。変態から、恵令奈先生を守ったのです。」

 力が弱い私たち女は知恵を使って、男を退けないといけない…か。


「ひなちゃんの行動力には脱帽するね。ここまで計算し尽くすんだから…。」

 でも、そのお陰でしばらく、岡崎さんとも会わずに済みそうだ。


「本当に男はこりごりです。しばらくは恵令奈先生が私の彼氏です。」

 そう言うと日向は手を恋人のように繋いできた。


(俺は女の子より、優しくて無害の彼氏が…欲しいな~。)

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