第44話 酔いと勢い





「まゆ、大丈夫…?」


まゆから電話をもらって慌てて僕は駅に直行した。駅のベンチで無防備に座るまゆを見つけて僕はまゆの方へと駆ける。すぐ近くから酔い潰れたまゆをチラチラ見てる男とかいたけど軽くぶん殴りたい。僕の大切な彼女に手出したら許さんからな。


「えへへ〜りゅうちゃん〜ただいま〜」

「まゆ、ここアパートじゃないから…さ、帰るよ…歩ける?」


まゆの手を取り立ち上がらせるがまゆはフラフラでまともに歩けそうにない。


「しょうがないなぁ」


歩けないまゆを僕はおんぶして帰り道を歩いた。まだちょっと寒い夜道だけど、背中だけはまゆの温もりですごく温かく感じる。


「りゅうちゃん…迷惑かけてごめん……」


駅を出て少しすると涙声でまゆが僕に言う。大丈夫だなら気にしないで。と言うとありがとう。と言って僕を強く抱きしめてくれる。


「ねぇ、りゅうちゃん…まゆ、まだ帰りたくない……」

「え?」

「あっち…」


僕におんぶされながらまゆはアパートとは違う方向を指差す。ちょっとお散歩したいのかな?と思ってまゆの言う通りの方向に歩いた。


「りゅうちゃん…もう、歩ける……」

「本当?」

「うん。だいぶ落ち着いた。ありがと」


しばらく歩くとまゆはそう言って僕の背中から降りて僕の隣に立って僕と手を繋ぐ。


「じゃあ、帰ろうか」

「やだ…」

「え?」


まゆは僕の手を引っ張って歩き始めたそしてすぐ側にあった建物に入って行く。状況が理解できない僕に抗う術を与えないような勢いで入り口の端末を操作して僕の手を引っ張って建物の奥に入る。


そしてエレベーターに乗せられて、まゆに声をかけたが無視されてエレベーターが目的地に着くとまゆは僕の手を引っ張って無言で廊下を歩きドアの前で立ち止まり、ドアの鍵を開けて僕を部屋に押し込む。


「ね、ねえ…まゆ?ど、どういうこと?」

「りゅうちゃん、好き…大好き…」


部屋の入り口で困惑していた僕を引っ張って部屋の中に連れて行きまゆは僕をベッドに押し倒した。


「りゅうちゃんはまゆのこと好き?」

「す、好きだよ。大好き」

「えへへ。ありがとう」


なんかいつもとは違う感じの…やばいテンションのありがとう。だった気が……


「りゅうちゃん、じゃあ…今日は寝かせないよ。まゆと一晩中ここでいちゃいちゃするんだよ?わかった?」


ちょっとやばい感じの笑みを浮かべてまゆはベッドに倒れる僕に跨って言う。気づいたらまゆはいつのまにか下着姿になっていた。


やばい。酔った時のまゆ…手がつけられない……この状況どうしよう。





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