第12話 お待たせ





「りゅうちゃん、おはよう」


朝、目を覚ますと僕をぎゅっと抱きしめながらまゆは笑顔でおはよう。と言ってくれる。僕もまゆを抱きしめておはよう。と返事をするとまゆは最高の笑顔を返してくれた。


「りゅうちゃん、今日はお買い物行く約束だからね。早く出かける準備してよ」

「うん…」


僕もまゆも名残惜しそうにお互いを抱きしめるのをやめてお布団から出る。


まゆと暮らし始めて3日目、今日はまゆとお買い物に行く約束をしていた。引っ越しの荷物は片付いたけど、まだ生活で足りていないものがいくつかあるのでそう言ったものを2人で買いに行く。


僕は顔を洗って歯を磨いて着替えをしたら準備は終わったが、まゆは軽くメイクをしたりしていたので僕より時間がかかる。女の子は大変だな…と思いながらまゆの準備ができるのを待つ。


まゆは基本的に朝に弱い…たまに寝坊して大学の講義に遅刻してたりしたし朝、たまに不機嫌なこともある。それでも、まゆは僕との約束に遅刻したことはなかった。毎回、きちんと身だしなみを整えてすごくかわいらしい状態で約束の時間に来てくれていた。基本的にまゆの車でどこかにデートに行くことが多くて、まゆはいつも僕の家に僕を迎えに来てくれていた。朝が苦手なはずなのに僕よりも早い時間から起きて準備していてくれたんだな。とまゆが準備をするのを見ながら思う。


「まゆ、ありがとう」

「え?急にどうしたの?」


まゆはキョトンとした表情で僕に言う。まあ、いきなりお礼を言われたらそうなるよね…


「いや、準備とか大変そうじゃん…それなのに今まで僕を迎えに来てくれたりしてて朝大変だったんじゃないかな…って……」

「なんだーそんなことか。あのね。りゅうちゃんに会えるのはまゆにとって一番の幸せなの。りゅうちゃんに1秒でも早く会って1秒でも長く一緒にいるためなら早起きくらい余裕でできるんだから。まゆの方こそありがとうだよ。まゆと一緒にいてくれて」


いい子すぎるしかわいい子すぎる。まゆがあまりに愛おしすぎてまゆを背後からぎゅっと抱きしめる。


まゆは一瞬、驚いた表情をするがすぐに微笑んでくれた。


「えへへ。嬉しいな…ありがとう…」


めちゃくちゃ幸せそうな表情で言うまゆにこちらこそありがとう。と伝える。その後、まゆを離してまゆの準備が終わるのを待つ。その間にゴミ出しとか僕が出来ることを終わらせておいた。


「りゅうちゃん、お待たせ。行こう」


僕の準備が終わってから数十分後にまゆはそう言った。今までこの時間分僕より早起きしてくれていたんだ。と、先程のまゆの言葉を思い出して嬉しくなる。


「まゆ、今日もかわいいね」

「ほんと!?嬉しい!!」


笑顔で僕の隣に立って僕の腕にぎゅっと抱きつきながら玄関まで歩くまゆが愛おしくてたまらなかった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る