第2話 初日の夜ご飯






「とりあえず、まゆの荷物片付けないとね。荷物結構ある?」

「うーん。ちょっとあるかな…手伝ってくれる?」

「もちろん」


家具とかは新しく購入してこのアパートに直接送ってもらったから既にあるけど、まゆが持ってきた荷物はまだまゆの車に積まれたままだったので、まゆの車からアパートの中に運び込む。


アパートは玄関から廊下が続いていて、真っ直ぐ進むとリビングがあり、リビングの隣に2人の寝室がある。廊下からリビングの途中に洗面所とお風呂場がある。


僕とまゆは何回かまゆの車とリビングを往復する。そして荷物を運び終えた後、まゆは寝室のクローゼットに自身の服を片付けたりしていて、僕はダンボールを崩したりしてまゆの荷物の整理をする。そうしているとあっという間に夕方になっていた。


「とりあえずこんな感じかな。手伝ってくれてありがと。あ、もうこんな時間だし、急いで夜ご飯作るね。今日、りゅうちゃんが好きな物作ってあげるから」

「ありがとう。僕も手伝うよ」


荷物の整理が終わってすぐに、まゆは夕食を作ろうとしてくれる。料理が苦手な僕からしたらすごくありがたいけど、任せっぱなしは申し訳ないから何か手伝いたい。


「大丈夫。りゅうちゃんはソファーで座ってて。あー、もう。やっぱりコンビニ弁当ばっかり。全く、やっぱり、りゅうちゃんにはまゆがついてないとね…」


まゆが来るまで1人で暮らしていた3日分のコンビニ弁当の残骸をゴミ箱で発見したまゆはやれやれ。と言った様子で僕に言う。何も言い返せないです……


というわけで、戦力外通告をされたわけだけど、何もしないで待ってるのは申し訳ないからお風呂掃除して、お風呂のお湯を貯めたりしていた。そうしてリビングに戻ると鼻歌を歌いながらエプロン姿で料理するまゆの姿が見えてすごく幸せな気分になる。こんなにかわいい彼女と今日から毎日一緒にいられることがすごく幸せだ。


「りゅうちゃん、もうすぐできるから座ってて。なんか、りゅうちゃんにまゆの料理食べてもらうの初めてだから緊張するなぁ…」

「まゆの料理すっごく楽しみだよ。めっちゃ美味しそうな匂いしてるしまゆが作ってくれるんだもん美味しくないわけないよ」

「もう、嬉しいこと言ってくれるなぁ」


そう言いながら僕に抱きついてくる彼女が可愛すぎる。よく、まゆと一緒にいると犬系彼女羨ましい。とか言われるけど褒めるとすぐ嬉しい。って感情を表して僕に抱きついてくるまゆを見てると、まゆが彼女でよかった。って本当に思う。


「あ、やばい…焦げちゃう……」


少しの間僕にギュッと抱きついていたまゆは台所から聴こえてくる何かを焼いている音を聴いて慌てて台所に戻っていく。かわいすぎる。


「りゅうちゃん、この前、生姜焼き好き。って言ってたから簡単なやつだけど作ってみたの。もう少し時間あればもっと美味しいの作ってあげられたけど……」


そう言いながらまゆは出来上がった料理を運んで来てくれた。まゆが作ってくれた料理はすごく美味しそうで、早く食べたい衝動がおさまらなくなる。


「りゅうちゃん、お腹なってる…」

「あ、うん。美味しいそうだったから……」

「美味しくできてるといいけど…とりあえず、食べよっか」


小さなテーブルに料理を並べた後、僕の隣にクッションを持ってきて肩が当たりそうなくらいの距離でまゆは僕の隣に座る。ち、近すぎてなんかドキドキする。これが、今日から毎日続くのかと思うとめちゃくちゃ幸せな気分になる。


「ま、まゆ…えっと、近くない?」

「え、嫌…だった?」


めちゃくちゃかわいい笑顔を崩して一瞬で涙目に切り替わったまゆを見て慌ててそんなことないよ。と言ってまゆの頭を撫でる。まゆはよかった。と言って僕の肩に頭を当ててくる。かわいい。いくら緊張していたとはいえ、近くない?は酷かったな。反省……


「まゆ、ごめんね。まゆのこと大好きだから側にいてね」

「うん!もちろんだよ。これからずっと一緒だもんね」


僕に頭を撫でられながらめちゃくちゃ幸せそうな表情でそう言ってくれるまゆ、ずっと一緒と大好きな彼女に言われて僕はめちゃくちゃ幸せだった。




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