第4話 インド式のトイレ
インドの習慣で、これはなじまないと思っていたのは、掲題の件、トイレである。水と左手で処理するというやつだ。ベトナムも同じだったかな。
私のインド旅行は実質7日間だった。ゆえにインド式のトイレは回避できると思っていた。紙を使い続けてやる、私はそう決心していた。
3日目、私の決心の前に立ちふさがったのが、ダイアリーアである。日記、ダイアリーに似ているその英語の意味するものは、下痢。
ものすごくトイレに行くことになった。まるで、とった水分が排出されるよう。いや、食べなくても、水分を取らなくても、何度も襲ってくる強烈な便意。正露丸なんて効かない。ひどいときには30分に3、4回はトイレに行った。トイレに行った直後、腹に次弾が充填されているのがわかる。ぐるぐると音がする。これほどの下痢に、私はなったことがなかった。
これではトイレットペーパーが半ダースは必要である。いや、紙以前に尻が悲鳴を上げよう。
かくして、「紙を使い続けてやる」という私の決心はいともたやすく、インド3日目にして崩れ去ったのだった。
だが、インド式のトイレをしたことにより、私は何かひとつ自由になれた気がして、少し嬉しくなっていた。下痢は、その勢いを落としていないにもかかわらず。
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