第3話 婚約者もクズだった
「ご主人様、屋敷にいる力自慢の者たちを集めてきました、これで奴らが抵抗したとしても問題ありません。それでは、あいつらを追い出しましょう!現在は居間でくつろいでいるようです、さぁ行きましょう!」
ビートルはシーラ以上に彼らを追い出そうと率先して動いていた。いったい、この3か月の間に何があったのか?彼がここまで怒っているなんてよほどのことがあったのだろう。
「分かりましたから、どうして私よりもあなたの方がそこまで熱心なのですか?」
こうして、私は何人もの人間を引き連れ、二人が待つ居間へと向かうのであった。
私はバンと大きな音を立てて、扉を開けると3カ月ぶりに二人を目にした。そんな二人はイチャイチャしており、私の存在に気づいてすらいない。どれだけ間抜けなのだろうか?
「あなた達、私の屋敷でいったい何をしているのですか?今すぐに出て行ってください!出ていかないのであれば、あなた達がやっていることは不法占拠ですよ。すぐさま、兵士に来ていただくことになります。」
そんな私の声でようやく二人が振り向き、私の存在に気が付く。二人とも、追い出したはずの私が目の前に現れてびっくりしているようだ。
「シーラ!どうしてあなたがいるのよ!追い出されたはずでしょ?あなた達、何をしているの、こいつは侵入者よ。今すぐにつまみ出しなさい。」
タニラが使用人たちに私を追い出すように命令するが彼らがそれに従うことはない。それもそうだ、彼らの主人は彼女ではなく、私なのだから。
「ちょっと、あなた達!なぜ主人の命令に従わないの、今すぐクビにするわよ!」
自分の命令に従わない使用人たちに苛立ちを募らせ、タニラは次第にヒステリックに叫びだすようになる。そんな彼女を止めたのは彼女の夫であるアルフレイ様だ。
風邪の噂では私と初めて会った時には二人は婚約者の関係だったがいつの間にか結婚をしていたらしい。
「まぁ、まぁ。きっと彼女は僕たちに施しを受けに来たのではないかな?彼女みたいな引きこもりに仕事なんてあるはずもないよ。
使用人たちも一応、前主人の娘だから慈悲が沸いたんじゃないかい?良いじゃないか、鉄貨1枚くらいをあげればいい。それでここに来ないように約束させれば問題ないさ。」
仮に私が本当に施しを受けに来たのであれば鉄貨1枚なんて貰ってもどうすることもできない。そんなもので買えるものなんてパンひとかけらくらいだ。一つだって満足に買うことが出来ない。
彼もまた、初めに会った時と何一つ変わっていなかったのだ。せめて少しでもいい人間であれば彼も破滅することはなかったのに。まぁ、こんな人間なのだから私は容赦なく徹底的に打ちのめすことが出来るのだからその点に関しては良かったのかもしれない。
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