君の涙はしょっぱかった【150PV越え】
興梠司
君の涙はしょっぱかった
君と出会ったのは吉祥寺の交差点だった、僕はスカウトマンで君は駅に行くときに僕に声をかけられそこから、あれよあれよと行くうちにお互いが好きになり恋に落ちた。出会った2ヶ月で同棲を始めたが、君は僕に内緒で風俗を続けていた。
最初は僕が紹介するお店で働き付き合うようになって、紹介した店を辞め僕には
「風俗を辞めて、塾講師を始めた」と言っていたが君は風俗を辞めていなかった。
僕はスカウトでも顔が広い方で彼女が何処で働いてる、何処に体験入店に行ったという情報はすぐにでも入ってくるが彼女を突き詰めたりはしなかった、彼女のお母さんは山の手病院に入院をして、彼女が入院費を払っていた。僕もお母さんのお見舞いに行ったことはあるので嘘ではないと信じたいが僕もスカウトで女の子を囲うのにホテルに行き、抱くこともあるので彼女のことを責める事もできなかった。
同棲をはじめて2ヶ月、立川で風俗のお店の子が殺されるというニュース流れていた。僕がもっとも気になるニュースだったが、彼女もそのニュースに釘付けになり追いかけた。殺害された女性は彼女が先輩としたっている女性だというのは僕も知っていた。吉祥寺でスカウトしている時何度も二人で歩いているのもなんども見たことがある。
テレビの前で彼女は「みずほせんぱい」と泣き崩れてしまった。僕はどうすることもなく彼女の背中をかるく抱きしめた、僕にはそんなことしか出来なかった。
彼女が同じ目にあったら犯人を探し出して自分の手で殺すだろうなと思いながら抱きしる勢いが強くなった。「痛いよ。。」と涙声で彼女がいう、「ごめん」といいソファーに戻った。
彼女は先輩のニュース以降生きる気力を失っていた、ご飯も食べる量が減った、僕がその事をいうと「スペ上げ頑張ってるの」と言った。スペックというのは身長−体重のことでスペ110があればどこの店でも売れる。
彼女はどんどん痩せて行った、先輩のことが気になりすぎて喉にご飯が通らないみたいだ。
みずほの犯人は19歳で前の店からのお客さんで前の店ではNGにしていたのだが店を移籍して、探し出しお店に行き、みずほに無理心中を迫った。みずほは内勤を呼び、みずほは犯人に切り刻まれ、内勤は重症をおい、犯人は包丁をもったまま現場から逃げ去った。犯人が捕まったのは事件発生から八時間はたっていたというのが事件概要になる。
彼女は泣き崩れた日、僕は仕事に行くのに14:00に家を出た、彼女の出勤は16:00からだという、僕は家を出る瞬間なにか嫌な予感がしたので、いつもしない彼女を抱きしめて「大丈夫だよ」と行って外に出た。いつもどおり吉祥寺のサンドーロの前にたちスカウトをやっている。彼女は立川の塾でバイトをしていることになっているが、池袋の風俗で働いている、彼女はそのことは口にしない。
18:15 僕の携帯に着信音が鳴り響く、LINEも30件以上来ていた。
何事かと思い携帯を開くと「彼女が大塚病院に運ばれた」というのが
一番の内容だった、僕はサンドーロから走り電車に乗り込んだ。
落ち着かせるために情報を集めることにしたがなにがなんだかわからないが、彼女が意識不明の重体だと言うことはわかる。
電車がいつもより遅い、車掌さん頑張ってくれのお気持ちでいっぱいだ、いつもどおりなのかもしれないが絶対的に遅く感じてしまう。
大塚病院につくと仕事仲間の隆と警察官がいた。隆に事情を聞くと
池袋のホテルに入った彼女は巨体のおじさんに腹を刺され救急車を呼ばれたという。巨体のおじさんはまだ逮捕されていなく、刃物をもって逃走を図っていた。
僕はコンクリートにしゃがみこみ「立川と一緒じゃねーか」とぼそっと言う僕の肩に隆が手をあててくれた。
警察の話によると彼女の意識は戻っておらず、現在手術中で警察にもよくわかないという話だった。手術は最大でも明日の11:00まではかかるだろうと言われ、コロナ禍もあり、あんまりの人数を残さないでくれというのが病院から言われ僕と隆はマンガ喫茶へいき、明日10:00に大塚病院に行くことにした。
マンガ喫茶の個室はいつもより小さく感じた、今の僕みたいだ。彼女が危険な目にあっているというのに僕にはなにもできない、知らない間に流れてきた涙は塩辛い味がした。
彼女からもらっていた睡眠剤は今日はきかなそうだった、寝れる気もしないのでネットニュースで事件概要を拾ったが、書いてあることは一緒だ。
【風俗で働く女性、意識不明の重体、刃物男は逃走】
それいかでもそれ以上でもある情報はとれなかった。警察は本気で探しているのかと僕は警察を恨みかけた、
翌日10:00 僕らは大塚病院の一階にある無機質な部屋で彼女は白いタオルを掛けられていた。 僕はやるせない気持ちになった。白い布をあげると彼女の涙は乾いていなかった。僕はとっさに彼女に涙を舐めた。隆に気持ち悪いと思われててもどうでも良かった。
彼女の涙はしょっぱかった。
その後の記憶は僕にはない、気づいたら家にいて、隆がお粥を作ったくれそれを食べた。僕はこの家を引っ越そうと思った、彼女との思い出が詰まった家にいつまでもいれるとは思っていなかった。
犯人は3日後に大阪で捕まった。大阪に行くまでに二人を殺しているので世間では死刑確定だと言われているが僕からしたら彼女がもどってこないのであれば死刑でなくてもよかった。
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