スイパラ本番前・5つの『K』
──チョコケーキを目の前に、圧倒的オーラがうすだにのしかかる。
2022年2月25日14時5分
「ここが戦場か……」
1人スイパラといううすだ史上最大の修羅場となる舞台はららぽーとTOKYO-BAY 北館1階、千葉県唯一のスイパラ店がこの全国屈指の大型ショッピングセンター内に設置している。
ららぽーとに訪れること自体がおよそ5年振りとなるが、まだうすだが小さかった頃から家族と共に訪れた思い出のある場所である。うすだの記憶内にはかつて存在していた施設を未だ鮮明に覚えているため、随分と変わったんだなぁと懐かしく感じた。
「やっぱり1人だから緊張する……れっきとした目的が存在しても」
うすだは常に孤独な状態であり、さらに1人スイパラそのものが苦渋の選択だった。前日まで2つのKを背負っていたが、加えて3つ目となる緊張のKも追加された。
うすだはそこまで人見知りというわけではないが、とても1人で来るには敷地難易度が高いため心臓が早鐘を打ってしまう。原神コラボ目的も兼ねているものの、1人スイパラが恥ずかしいと本当に思ってたら今ここにいない。
「緊張なんかどっかに飛ばして、きっと沢山食べられるはずだ。この日に備えて朝飯は抜かしたし、万全な状態だ」
食体験系エッセイということあり、スイパラ本番前のうすだ流食生活についても語っておこう。カクヨムでもTwitterでもそう語る機会がなかなかないと思うし、今後スイパラに行く方の少しでも参考になれば幸いだ。
時間内であれば食べ放題というバイキングの性質を活かし、ここ数日間は食べ物の誘惑に負けないように打ち勝つため我慢してきた。具体的に主食の高カロリーはカット、さらには普段食べることの多い駄菓子類もこの日のために封印といったところだ。
運動面に関しても欠かすことができない。前回にも触れたが、うすだはららぽーとまで自転車で来た。さらに予定の時間まで国道357号線を可能な限り走り続けたため、すでに累計2時間は自転車をこぎ続けたことになる。
これは少しでも疲労さえあればより食欲が増すという決断であり、帰り道のことなど全く考えていなかった。そもそもうすだは中学校の頃は陸上部の長距離に所属し、現在も家の周りを走っているためかスタミナには自信ある。
「大量のチョコケーキが俺を待っている」
念願の夢である大量のチョコケーキを食べれる夢が今日叶ううすだは、余裕もってスイパラへと向かう。これでうすだは空腹という4つ目のKを手にしたことになるが、この余裕こそ盛大なフラグであることを当時のうすだは知らなかった。
「うげぇ……何人かスイパラに集まってるじゃん」
入口付近まで来たうすだだが、既に制服姿の女子とその友達らしき私服姿の女子の2人が待機していた。その女子2人から冷たい目線で見られてないかうすだは心配し、これが最初の洗礼だと悟った。
予約したものだから気軽に来店できるのが一般的だが、孤独のうすだにとってはそんなことなかった。だって基本的に大の成人済みの男が来るような場所じゃないからだ。
「このまま中に入るのか……逆に恐怖を覚えてしまった」
すでに店内から圧倒的オーラがあることを感じたうすだは、これ現代と異世界を繋ぐ門なんじゃないのかと理性を疑うことまで思い浮かべた。いくらガラス製で店の中が見えても、突然現れた恐怖を前にはもう引き返すことなどできない。
孤独・苦渋・緊張・空腹・恐怖、5つの頭文字『K』を持つうすだは本当に甘い楽園を味わえるのか?──
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