生米で、ふわもちのミニ食パンを作った話。

彩霞

第1話 再挑戦

 ――生米でパンを作る。



 米を愛してやまない(?)筆者からすると、夢のような話である。


 もちろん、米粉を使ったパンは世の中に存在するし、筆者も作ったことがある。だが、家にある生の米でパンを作ることができたら、パン作りはもっと手軽ではなかろうか、と思うのだ。


 さらに、生米からパンが作れるなら、銘柄だって自由に選択できる。「コシヒカリ」「ササニシキ」などの定番のお米はもちろん、「ゆめぴりか」「青天の霹靂」「だて正夢」「あきたこまち」「つや姫」「夢しずく」「森のくまさん」など津々浦々にあるブランド米でパンを作ることだって可能だ。


 そう思って勇んで取り組んだ、最初の生米パン作りは大失敗。パン作りに慣れていなかったこともあり、噛んだら歯が欠けるんじゃないか、と思うほどのカッチカチの丸パンが出来上がってしまったのである。



 ――これはいけない。



 そう思った私は、先に米粉によるミニ食パン作りに着手した。そうすることで、生米パンを作るときにその知識を活かせるのではないかと思ったからである。


 すでにご存じの方もいると思うが、『米粉パン研究室 ~生米パンで失敗した作者が、今度は米粉パンに挑戦する話~』では、沢山の失敗を経て、ついにおいしい米粉パンを作ることが出来た。


 その後も時折米粉パンを作っているが、だいぶ上達したようで、最近米粉パンが好きな友人に出してみたら、とても喜んでもらえた。「お土産に欲しい!」と言うほどだったので、余程美味しかったとみえる。


 私は米粉パンが成功にいたるまでに、複数の料理本を使用していたが、作り方にだんだん慣れてくると、自分に合ったレシピがどれか分かってくる。こういうのも相性があるらしい。


 それから、米粉パンで失敗をし続けていると、「小麦のパンを先に作ってみてはどうか?」と言われることもあったのだが、小麦のパンはもっと難しい。


 色んなところで発信しているので周知のことかもしれないが、小麦パンの場合グルテンが出来栄えを左右する。このグルテンがあることで膜が作られ、イーストから発生される二酸化炭素を包み込み、ふわっとしたパンが作れるのだ。


 だが、このグルテンが厄介でもある。パン作りの際には、生地を練ったり捏ねたりしなければならないのだが、手にべっとりくっ付いて大変なのだ。


 そう考えると、パン作りが初めての人は米粉から始めることをお勧めする。手に生地がくっつくこともないし、道具を洗う際も、さらっと生地が落ちてくれるので苦労することがほとんどないからだ。 


 さて、米粉のミニ食パンに関しては作り方をマスターした私だが、実はそれと並行して、こっそり(?)と生米の食パン作りもしていた。


 生米でパンを作るときに参考にした書籍は、『家にあるお米から形成パンができちゃう! 毎日食べたい生米パン』(著者:リト史織/永岡書店)である。この本の最初ページを開くと「丸パン」の作り方が書いてあるのだが、これは流石にパン作りど素人にはハードルが高すぎた。


「最初のページに載っているのだから一番簡単なのだ」と思っていたが、書籍の最後に紹介されていた「成形なしで型に入れるだけ 生米食パン」の作り方が最も簡単だった。この本を書いた著者自身が「いちばんシンプルな生米パン‼」というくらいなのだから、初心者はここから始めなければならなかったのである。


 それならそうと最初に言ってくれれば(書いてくれれば)良かったのに、と思うのだが、この料理本は「生米で形成パンを作る」ことが目的だったのだから仕方ない。 


 つまり生米で食パンを焼く場合は、形成が不要である。しかも、どうやらこの生米食パン、焼く前の生地の感じが米粉の食パンに似ていて、筆者にとっては扱いやすそうだ。


 ということで、米粉食パンの研究の傍ら、生米食パンの研究にも着手した結果を、こちらでご報告しようと思う。

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