第二話 日常、そして障害

「よっ!蒼汰そうた

蒼汰そうたじゃない、蒼真そうまだ」


なんてことない日常にちじょうのやり


もう何回なんかいもしてきたはずなのに

なつかしさをかんじるのは何故なぜだろうか…


授業じゅぎょうこうぜ!」

「いや、フルーツ牛乳ぎゅうにゅうだけさきませて」

「オッケー」


このリーゼントの少年しょうねん名前なまえ堀辺ほりべ尾流牙おるがという


こういう髪型かみがた校則こうそく制限せいげんされているはずだが

何故なぜかコイツだけゆるされている

というか、注意ちゅういされない

まるで、そこだけ視界しかいはいっていないようだ

おれはこんなにも校則こうそく忠実ちゅうじつ髪型かみがたをしているというのに…


鈴木すずき髪型かみがたはというと

まぁ…ご想像そうぞうにおまかせする


そんなこんなでフルーツ牛乳ぎゅうにゅうすと

鈴木すずきたち一行いっこう授業じゅぎょうのため教室きょうしつへとあゆみをすすめた


相変あいかわらずあの毒舌女どくぜつおんなことあたまはなれなかったが

だからなにというわけでも

性格せいかくつむればどこにでもいるただの少女しょうじょ

かお可愛かわいいだけの少女しょうじょ


すこほそいがそのするど目付めつきがたまらない

あの黒髪くろかみながれるようにそろっていてとても綺麗きれい

身長しんちょうはややひくめでめればそのかお丁度ちょうど

おれむねあたりに来るだろうか


そしてそのまま上目遣うわめづかいで…


「…いてっ!」


妄想もうそうおもいをせているとまっているとびら顔面がんめんをぶつけてしまう


「おまえバカだなぁ…

はちゃんとまえいてるっておやおそわらなかったか?」

「バカはどっちだ?

そういうときまえいてあるけってうんだ

かしこそうなことっておもいっ的外まとはずれなこといやがって…

バカ丸出まるだしだぞ?」

「ついに、ワイもおバカキャラでときたようだな…」

冗談じょうだん髪型かみがただけにしとけ」

「カッカッカー!」


そう

これが日常にちじょう


この学校生活がっこうせいかつでいつまでもつづはず

まもるべき日常にちじょうなのだ



かったの?あんな態度たいどって」


そう土切つちきりはなけるのは

保健室ほけんしつ先生せんせいである


茶髪ちゃぱつおもいっ整髪料せいはつりょう使つかったかみ

太陽たいようひかりけて

煌々こうこうひかかがやいている


べつに…

わたしはこういう人間にんげんですから」

「だからってあそこまでこといんじゃない?」

「だから

無意識むいしきにやってることですから」

「そ

ならなにわないけど」


土切つちきりはこの学校がっこうてから

人生じんせいほとんどをこの保健室ほけんしつごしている

土切つちきり体質たいしつのせいなのだが

そのこと極一部ごくいちぶ人間にんげんしからない


ひとはまだ苦手にがて?」

「ええ

かれらはうそきますから」

「そうね

まぁそれは仕方しかたことだとおもうけれど

もし、うそかないひとがいたらどうする?」

「どうするってどういうことですか?」

「さぁ?」


うそかない人間にんげんなんてそうそういない

いたとしても

そんな人間にんげんちかくにいたら不安ふあん仕方しかたない

信用しんようするのがこわ


ひさしぶりにそとにでもてみたら?」

「いえ

大丈夫だいじょうぶです」

「まぁまぁ

丁度ちょうどわたし今日きょう下校げこう時間じかんかえらなきゃいけなくて

いつまでもここにはいれないのよ」

「…わかったわ」


もし本当ほんとう信用しんようあたいする人間にんげんなら


たしかめてみたい

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