グルメ小説コンテスト用 第1話 何かが俺には取り憑いている?
近くの大通りは今日も昼夜問わず多くの人でごった返している。この大通りは飲食店が多く立ち並んでいるので、食事の時間帯になれば各飲食店で人の取り合いだ。
安くてたくさん食べられるお財布に優しいお店。
とにかく量。大盛りのお店。
ここだけの味。
伝統の味を武器にしているお店。
テイクアウト専用のお店などなど、町にはいろいろなお店が今はある。
一つ一つお店の紹介なんてしていたら――大変なことになるだろう。それに知らないお店の方が多いので、本当はとってもいいお店なのに紹介できない場合があるだろう。それにそもそもそれぞれのお店の良し悪しは、人それぞれだと思うので……わざわざ関係ない他人が何か言うことでは――ないか。そうだな。忘れてくれ。
まあでも――今日もここは暇なんでね。自分の店のことでも話しているか――暇つぶしになるだろう。
――。
表通りから路地裏へ入りさらに奥。ずっと奥。本当に奥。なんでそんなに奥にあるんだよ。ってくらい奥。まあそれくらい奥じゃないと――ダメな理由でもあったのだろう。まあ何となくここを受け継いだ俺はそれに気が付きだしてはいるが――まあそのことは、初めてやってくる人に話す必要はないだろう。
とにかくずっと奥へと進んだ先には――廃墟ビルという言葉がぴったりな場所があり。そこににぽつんと俺の店はある。
今にもぶっ壊れそうなビルの一階にある。うん。ちょっと地震が来たら――ペッちゃんこになるかもしれない。そんなところに住んでも居る俺を褒めてくれ。うん。って、褒めてもらったところで何もないから――褒めなくていいわである。うん。ここしか俺の居場所はないんでね。ほぼ強制的に居るということだよ。
店内の紹介を簡単にしておくと、カウンター席が数席だけだ。かなり店内は狭い。まあだから紹介することが少なくて楽なんだがね。
ちなみに店内は一応綺麗にはしているのだが――建物が古いからな。ボロく。暗い感じは――そう簡単に俺だけでは変えれなかった。でも言い換えればなんか昔懐かしい、店と……思ってもらえないかな。とか思ったりしている。
まあここで、店を切り盛りしているのがおじいちゃんおばあちゃんで、昔からずっと続くお店。なら、まあ昔懐かしいお店。とかになるのかもしれないが。
俺はまだ20代後半。まあ見た目は――老けていると昔から言われていたが……いや、俺も自分磨きをして、なんか路地裏でイケメンが小さくてオシャレなお店開いている。とかなら――まあちょっとは店の現状も変わっていたかもだが……あいにくそういう人間ではない。基本目立たないタイプだ。ってかそもそもそういう店じゃないか。
まあとりあえず、パッとしない落ちこぼれが親のやっていたお店にいろいろ失敗のち転がり込んだ。と。いうのが現状だ。
――だが。俺は親がどのようにお店をしているのか全く知らなかった。
興味がなかったから。というか。うん。関わりたくなかっただな。昔から人がほとんど来ないこんな所でなんかしている親が……俺は無理だったというか。避けていたというか。直感的にというか。何かここは嫌な感じが居るだけでしていたからな。
だから俺は高校を出たらこの場所を1度は離れたが……でも不思議な事というか。離れられないというか。うん。俺自身がダメなのか。まあ結局何をしてもダメだった俺はここに戻ることになった。
高校卒業後。大学は行っておけ。だった親の言うことを聞いた俺は大学へと進学したが――入学式早々。交通事故に俺は巻き込まれ。怪我がひどく。一人暮らしは――という状況だったため。数週間ここにすぐ戻ってきていた。これがまず初めの脱出失敗。怪我が治った後は、無事に大学へ。まあ遅れていたのを取り戻すのはなかなか大変だったな。でもまあ頑張ったよ。出遅れたが――出遅れたがゆえというのか。周りにお友達というのが居なかったのでね。勉強ばかりできたからな。
そんなこんなでしばらくは大学生活を過ごした。が。この頃から何かおかしかった。俺の周りでは不思議なことが多かった。
例えば、アルバイトをしようと受けた。すんなり受かった。が。店が翌週潰れた。
再度別のところ受けたら。またすんなり受かった。が。翌日お店が火事で全焼。
再々度別のところ受けようとしたら――面接時。店に車が突っ込んできて――俺また怪我人に……。
……信じられないようなことばかりが起きていた。
まあ俺の周りに友人が居たら、お前やばいだろ。的な事を言ってくれていたかもしれないが。あいにく俺には仲の良い友人はこの時居なかったため。この俺の出来事が広がることはなかった。
ってか。親は毎回怪我をして帰って来る俺を見ても。何故かやっぱりな。的な感じでいつも笑っていた。うん。親も謎だったが――その事が広がることもなかった。
とまあそんなこんなで気が付いたら大学で勉強をしているだけで4年間が終わった。
まあ勉強をちゃんとしろと神様が言っていたのかもしれない。と、一時期は思うようにしていたが――その後も不思議なことはあった。
大学卒業後。俺は中小企業に就職したのだが――1か月持たずして――会社が消えた。突然だったな。社長が逃げたとか。まあ詳しくは知らない。
まあでも――これは俺が選択ミス。というか――うん。まあまた気持ちを切り替えて別の会社へ。となったのだが――2度あること3度あった。
親がやっぱり飲食店をしているからか。何かのつながりで飲食店関係へと就職することになったのだが――俺がお店へと入ったその日だった。
店舗に車が突っ込み――突き抜けたのだった。
あとから聞いた話。お店の駐車場に車を止めようとした際。アクセルとブレーキを踏み間違えたらしい。その事故でお店は全壊。でも幸いなのか。死者は居なかった。運転していた人も無傷。怪我人は――たまたま入り口近くで準備をしていた俺一人だけだ。うん。俺だけで済んだ。その他のスタッフの人はたまたま裏に居たため。難を逃れたらしい。
俺は全治数か月。いやー、死んだと思ったが――3回生き延びたらしい。
目が覚めたら病院。さすがに親が様子を見に来ていたな。生きてるのか?みたいな感じで来たな。うん、ホント謎な親ってか。いつも明るい親だよ。である。
でもまあそんなこんなで、怪我が長引いたため新しい会社はそのまま退職となり。ぐるりと回ってというのか。親の店へと俺は戻って来ることになった。
俺が家へと戻ると――親は楽しそうに。そして真剣に俺へと指導した。まあ元々料理は嫌いではなかったからしばらくしたら――まあまあな感じになり。っか、この店ほとんど人が来ないからお客が居ない時はずっと指導されたよ。である。
まあこの指導されている時の俺はまだ店の事をちゃんと理解していなかった。いやまあ――今もちゃんと理解しているかはだがな。
でも――そういえば、はじめて見る人ばかり来るな。とは思っていたな。
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