異世界転生したから、ここでの生活をエンジョイすることにした

アンヘラ

プロローグ 何故こんなことに

友達とたわいのない会話。幼なじみとの登校…。これが俺の朝、一日の始まりだ。転生する前までは…。


俺の名前は村上 凪斗。見た目は普通の高校生であり、高校に通って普通に生活していた。

趣味と言えば、オリキャラを作ること。作ったことがあるのは女子のオリキャラだけなのだが。

好きな物は異世界もの。特に異世界転生や転移系。毎日それを読んで自分も異世界に行きたいと思うようになった。


俺の部屋は普通の高校生と変わらない。違うところと言えば、本棚にラノベがパンパンに入っていることくらいだろう。勉強は少ししかせず、ほぼほぼゲームやネットだ。だが、そんな日常も長くは続かなかった。


ある日。俺は1人だった。この日は電車を使い、東京に来た。この日、東京に行っていなければ今頃、自分はどんな人生を送っていたのやら…。事件があったのは夜。俺は夜の東京観光をしていた。スカイツリーに行ったり、焼肉食べたりなどしていた。その途中で俺はひったくりに会った。バックを盗られて俺は犯人を追いかけた。

捕まえたまでは良かったが…まさかのナイフを持っていてそれで刺され死亡。呆気ない最後だったと、今は思う。


そして…俺は気が付いたら朝、ベットで寝ていた。

「え…俺死んだはずだよな…。もしかして…転生した?はっ、まさかな…」


そう独り言を呟き、いつもの日課である顔を洗いに行くことに。自分の部屋を出て、階段を降りていく。洗面所に着いて顔を洗おうと鏡を見た瞬間のこと。俺は驚愕した。


鏡には、女性の顔があった。しかもそれは…自分の作ったオリキャラ、紅薔薇 琴音べにばら ことねと瓜二つだったのだ。

肌は白く、目は赤とピンクのオッドアイ。パジャマは赤いジャージ。指は長く、足も細い。髪の毛は黄色に近いオレンジ。髪はショートに近く、サラサラしていた。見た目は、可憐な女子高生のような見た目をしていた。

胸と言うとBとCの境目の大きさ。洗面台の近くには白いリボンの付いたカチューシャが置いてある。

まじまじと鏡を見ながらほっぺをつねったり、はたいたりしてみた。

「ゆ、夢じゃない…ってか声高。」


声は女性と同じくらいの高さになっていた。

正直驚いた。それと同時に嬉しさや心配も生まれた。

オリキャラになれたはいいが、周囲の状況はどうなのかということだ。

1回部屋に戻って、色々と見ることにした。

部屋は女の子の部屋…という感じは多少はあった。

机の上には家族か友達との写真、ベットには猫のぬいぐるみなど。

1番驚いたのは、部屋に赤い薔薇が大量に山積みになっていたことだ。


「こんな風に保管してるのか…って、何だこの紙は」


俺は机の上に置いてあった紙を手に取り見てみると

「えーっと…合格通知書。あなたは、今年の推薦入学で合格致しましたのでご連絡致します。入学式の日程等に関しては、封筒に資料を同封していますのでご確認ください。」


こう書かれた文の下には

「異能学園サキトス 入学試験 合格」

と書かれてあった。


「異能学園…アニメの世界かここは…」

若干溜息をつき、頭をわしゃわしゃとかくと、封筒の中身を確認することに。


「ざっと5枚くらいかな。」

1枚は入試の時に送ったであろう生徒の資料が入っていた。

一応自分の能力や名前などを確認するために見てみることにした。

「名前 紅薔薇琴音 年齢 16歳 性別 女…」

などと情報が書いてあった。

違うことと言えば、志望理由の欄が無く推薦理由の所に「複数の能力を使い分ける才能を持ち、成績等が優秀であるため。」と書いてあった。多分、先生が書いたものだろう。

能力の欄には2つ能力名とその詳細が書いてあった。

「能力名…紅き薔薇の狂宴、もう1つは…ジャッチメント・ギャンブルか。」


ざっと見て分かったことは

名前は紅薔薇琴音、性別は女、年齢は16歳、能力は、「紅き薔薇の狂宴」と「ジャッジメント・ギャンブル」


能力の詳細は、「紅き薔薇の狂宴は、薔薇に触れることによって、それを武器にすることができる。薔薇1本につき1つ、壊れたり(使用不可状態になる)、銃弾が無くなると薔薇が枯れる。」

「ジャッジメント・ギャンブルは、対象(無制限)を異空間のカジノに引きずり込み、ギャンブルを行う。

賭け金は、入る前に持っている所持金でありギャンブルで勝利すれば相手の賭け金を全額貰える。賭け金が増えれば増えるほど身体能力向上、減れば低下していくが戦えなくなるほど低下はしない。」

とあった。


「完全に私が作った紅薔薇琴音ってキャラの設定だ…。でも、それ以外は私が作った事ないな。」


他の4枚はクラス分け、授業、入学式の日程等が書いてあった。

学年は3年生まであり、3年間学校生活すれば卒業できる。しかし、卒業試験を乗り越えないと卒業出来ないらしい。

生徒人数は、今年の1年生が約20人。ちなみに2年生は13人、3年生は16人とのこと。



授業に関しては、

・能力の向上を目的とした能力向上授業。

・基礎学力の向上を目的とした国数英理社の授業。

・外部からの講師を呼んでの講演会。

などの授業があるらしい。


入学式は、4月8日。そして今日は…4月8日?!入学式当日ではないか!だが、時間は午後から。まだ余裕はある。だが、早く状況把握をしないと!


30分ほど家の中を見て回った。

どうやら、家族は両親とも海外の仕事があり、今は居ないらしい。


(一人暮らしは凄いな…。)

と、関心してしまった。

時計の針は9時を指し、徐々に温かくなってきた。


どうやら、この世界にも四季はあるらしい。

カーテンを開けるために、椅子から立ち上がって窓に向かった。

カーテンを開けると目の前には、普通の街が広がっていた。どうやら、能力者はほんの少ししか存在しないらしい。まぁ、そんなことは大体察しがついていた。


とりあえず、自分が行く学校くらいは把握しておかないと不味い。そう思い机に戻るとスマホを手に取り、異能サキトス高等学校のホームページを調べることにした。


「スマホも変化は無い…アプリとかも普通のアプリだね。」

スマホに変化はなく、元いた世界と同じでアプリの使い方も同じだった。さっそく、異能サキトス高等学校を検索にかけてみると学校紹介のページがヒットした。

学校は4階建て

1階が昇降口と売店食堂など

2階が1、2年生の教室と職員室、そして実習室というものがある。

3階が3年生の教室と進路指導室

4階が屋上になっている。

外見は、お嬢様高校のような建築で白を基調とした壁。

中は主に木を使用し、高級感溢れる教室などとなっている。教室内は、普通の机と椅子があるが、黒板はモニターになっている。校舎自体とても広く、中庭は庭園やベンチなどがあり、昼食を食べられる空間となっている。

食堂、売店、自販機もあり、飲食面はとても充実している。

実技を行う教室は体育館のようであるが、壁はコンクリートで、個室のような空間に分かれている。

学校の中はざっとこんな感じ。


続いては、制服。制服は、男女共に赤のブレザーで、ズボン、スカートはチェック柄。

個人的にはかっこいいと思っている。

そんなことを思いながら学校行事の欄に移った。

学校行事は、普通の高校と何ら変わりはない。そこは安心だ。


その下には、今年の入学生の情報があった。

どうやら、この学校は入試の成績が良かった生徒3人の名前と能力名を掲載しているらしい。

3位は夜来 琴葉よらい ことは

能力名「アンラッキーハッピー」「スイッチ」

2位は終夜 戒しゅうや かい

能力名「終わりの夜」「アイスクラフト」

1位は私、紅薔薇 琴音

能力名「紅き薔薇の狂宴」「ジャッチメント・ギャンブル」

なぜ1位なのかは知らないが…なんか嬉しい。


SNSやまとめサイトでは、さっそくこの情報が出回りどのような能力か考察が始まっていた。


「アンラッキーハッピーってさ…不幸を起こすのか?」

「いや、俺は相手を不幸にさせて自分に幸運を起こす能力とみた。」

「アイスクラフトってさ、氷?雪?」

「スイッチは…なんだ?どこからでも電気とかつけたり消したりできるとか?」

「紅き薔薇の狂宴ってかっこいいな…」

「終わりの夜の方がかっこいいだろ」

「ジャッチメント・ギャンブルってことは…ギャンブルするのかな?」

などのコメントや投稿が見られた。


「みーんな考察頑張ってんなー」

画面をスクロールしながらそう呟く。

「私が考えたオリキャラになったんだったら…能力も私が考えたやつってことかな…」

そうして、机の上にたまたまあった薔薇を手に取って心の中で

『サバイバルナイフ』

を思考する。

そうすると、薔薇が形を変えてサバイバルナイフになった。

「やっぱり…そういうことだよね。」

そういい、自分の能力を理解した。

サバイバルナイフを机の上に置くと

「能力が私の考えたのと同じ…であれば、使いこなすのは簡単かな?」

そう言いながらコートを手に取り、荷物をバックに詰めて、玄関に向かい靴をはく。


「さて…早く学校に行かないとね。」

ドアに手をかけて開ける。

時間は昼近く、昼食は済ませ早く学校に行くことにした。

鍵を閉めて、歩道に出た。


『今日からここが私の世界…か。』

そう心の中で思った。そして

「いってきます。」

そう言って私は歩き出した。

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