第366話

 白いドラゴンが飛行しながら距離を詰めて来る。

 まずは、白いドラゴンの方へと〖ステータス閲覧〗を向ける。

 白いドラゴンは俺と目を合わせると、フンと鼻を鳴らす。


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〖救国の聖竜〗

種族:セラピム

状態:スピリット

Lv :82/125(Lock)

HP :1101/1101

MP :1279/1279

攻撃力:922

防御力:556

魔法力:1121

素早さ:828

ランク:A


特性スキル:

〖竜の鱗:Lv6〗〖グリシャ言語:Lv9〗〖飛行:Lv8〗

〖光属性:Lv--〗〖聖竜:Lv--〗〖HP自動回復:Lv4〗

〖MP自動回復:Lv5〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv5〗〖魔法耐性:Lv8〗〖麻痺耐性:Lv4〗

〖幻影耐性:Lv6〗〖即死耐性:Lv8〗〖呪い耐性:Lv8〗

〖混乱耐性:Lv6〗〖闇属性耐性:Lv8〗


通常スキル:

〖大牙:Lv5〗〖光爪一閃:Lv5〗〖光の盾:Lv7〗

〖ハイレスト:Lv7〗〖ハイケア:Lv7〗〖ホーリー:Lv7〗

〖まどろみの息:Lv7〗〖人化の術:Lv7〗〖念話:Lv5〗

〖精神統一:Lv8〗〖ライトニングレイン:Lv8〗


称号スキル:

〖英雄:LvMAX〗〖天使:Lv--〗〖闇祓う大いなる光:Lv--〗

〖聖国の象徴:Lv--〗〖従霊竜:Lv--〗〖最終進化者:Lv--〗

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 Aランク……!?

 A-じゃねぇのかよ……。

 だがレベルが低いおかげか、エルディアに比べればステータスは下回る。


 アダムよりはかなり強い。

 スキルも充実している。

 だがタイマンで戦えば、タフネスと情報の差で俺が押しきれる範囲内だ。

 状態異常の、〖スピリット〗ってのが気になるが……。


 次に白いドラゴン……セラピムとやらの上に乗っている、二人の人間へと目を向ける。

 色素のない白い髪に、優し気な翡翠色の双眸の少女である。


 隣にいるのは、金に輝く短髪の女である。

 二十代後半頃だろうか。

 白い鎧を身体に纏っている。目はやや細く、釣り目がちだ。

 神経質な印象を受ける。警戒気味に俺を睨んでいる。


 敵対心が強そうなのは、剣士の方だ。

 だが俺の感性が、白髪の方がヤバイと告げていた。

 俺を見て、ああも無緊張でいられるのは、むしろ不気味だ。

 あれくらい気を張り詰めている方が普通だ。


 白髪の少女へと目を向けた。

 彼女も俺を見て、満足げに小さく頷いていた。


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〖リリクシーラ・リーアルム〗

種族:アース・ヒューマ

状態:通常

Lv :100/100(MAX)

HP :887/887

MP :1154/1154

攻撃力:673+76

防御力:476+98

魔法力:1112+110

素早さ:679


装備:

手:〖聖国の権杖:A-〗

体:〖聖国の祭服:A-〗


神聖スキル:

〖餓鬼道:Lv--〗


特性スキル:

〖神の声:LvMAX〗〖光属性:Lv--〗〖グリシャ言語:Lv7〗

〖魔術師の才:LvMAX〗〖気配感知:Lv7〗〖忍び足:Lv7〗


耐性スキル:

〖物理耐性:Lv7〗〖魔法耐性:Lv7〗〖闇属性耐性:Lv7〗

〖幻覚耐性:Lv7〗〖毒耐性:Lv7〗〖呪い耐性:LvMAX〗

〖石化耐性:Lv7〗〖即死耐性:LvMAX〗〖麻痺耐性:Lv7〗


通常スキル:

〖ステータス閲覧:LvMAX〗〖ハイレスト:LvMAX〗〖ハイケア:LvMAX〗

〖ホーリー:LvMAX〗〖ホーリースフィア:LvMAX〗〖ホーリースピア:LvMAX〗

〖念話:Lv9〗〖スピリット・サーヴァント:LvMAX〗〖フロート:Lv7〗

〖ハイクイック:Lv7〗〖ハイパワー:Lv7〗〖ミラーカウンター:Lv7〗

〖グラビティ:Lv6〗〖グラビドン:Lv6〗〖グラビリオン:Lv6〗

〖コンフュージュ:Lv6〗〖ミラージュ:Lv6〗〖ファイアスフィア:Lv6〗

〖魅了:Lv6〗〖スロウ:Lv6〗〖ディメンション:Lv4〗


称号スキル:

〖選ばれし者:Lv--〗〖英雄:Lv7〗〖聖女:Lv8〗

〖白魔導士:LvMAX〗〖黒魔導士:Lv8〗〖闘杖術:Lv8〗

〖ちっぽけな勇者:LvMAX〗〖救護精神:LvMAX〗〖狡猾:LvMAX〗

〖悪の道:LvMAX〗〖嘘吐き:LvMAX〗〖卑劣の王:LvMAX〗

〖災害:LvMAX〗〖ラプラス干渉権限:Lv3〗〖聖竜に見込まれし者:Lv--〗

〖魔獣王を従えし者:Lv--〗

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 な、なんだコイツ……。

 勇者に続いて現れた、二人目の神聖スキル持ちである。

 それはわかるが、ステータスが、あまりに異様過ぎる。

 明らかに、勇者よりもステータスが高い。

 つーか、あいつくらいスキルなしで完封できるんじゃなかろうか。


 あのドラゴンが最大戦力かと思っていたが、ただの移動用だったんじゃなかろうかとさえ思えて来た。

 取れるスキル取って、スキルLvも育てられるだけ育ててみましたって感じだ。

 〖神の声〗持ちだ。それも、スキルLvMAXの。ぶつかれば、情報のアドバンテージはねぇ。

 あいつら、ヤベェぞ。

 この流れ……残りの一人……あの剣士も、ただものだと思わない方がよさそうだ。


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〖アルヒス・アテライト〗

種族:アース・ヒューマ

状態:通常

Lv :58/75

HP :352/352

MP :217/217

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 よかった、アルヒスさん、ただの人だった。

 いや、今まで見て来た人間の中でも最強クラスなんだが、リリクシーラとやらが化け物過ぎてなんだか安心してしまった。

 Aランク、Aランク相応と来て、Bランク相応が出て来た。


 しかし、〖ステータス閲覧〗持ちか。

 もっと警戒して動くべきだったかもしれない。

 さっき見つめ合っていたときに、こっちのステータスも見られていたはずだ。


 俺が向かって来る白いドラゴンと、その背に乗る二人に気を取られている間に、アロが俺のすぐ隣まで寄ってきていた。

 その後へと、ナイトメアとトレントが続く。

 俺の様子を見て、ただごとではないと察したらしかった。


 アロは俺の目線を負ってから、不安げに俺を見上げる。

 大丈夫だ、と軽はずみに言ってやれるだけの根拠がねぇ。


 ……逃げるか?

 いや、あの白いドラゴンの素早さは俺を上回っている。

 逃げるにも、その前にあのドラゴンに重傷を与える必要があるだろう。


 それにリリクシーラの様子を見るに、即戦い、といったことにはならないのではないかと思う。

 希望的な観測ではあるが。


 俺との話し合いに来たのか、俺の討伐に来たのかはわからねぇ。

 だが交渉するにも、逃げるためのダメージを稼ぐにも、接触は不可欠だ。

 俺は、ただじっと待った。


 やがて白いドラゴンが巨大樹へと到達し、離れたところの枝の上へと降り立った。

 そして天へと顔を向けて咆哮を上げる。

 それに合わせるように、リリクシーラが杖を掲げる。


「聖竜よ、しばらく休んでおきなさい」


 白いドラゴンが光を放ち、その輪郭が薄れ、空気中に溶け込むように消えていった。

 残った燐光が、リリクシーラの身体へと入っていく。


 ……状態、スピリットと関係あるのかもしれねぇ。

 どうやら、好きな時に好きなように、スピリット状態の魔物を呼び出せるらしい。


 枝の上に、リリクシーラとアルヒスが降り立つ。

 俺は相手がどう動いても対処できるよう、気を引き締める。


「イルシア様……と、仰るのですね。少々驚きましたが、なるほど貴方様に相応しいお名前でしょう。少なくとも、あの砂漠の地の怪人よりは。随分と前より、イルシア様のお噂は耳にしておりました。ずっと、一度お会いしたいと考えておりました」


 聖女はそう言い、固い言葉とは裏腹に、柔らかな笑みを浮かべた。

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