最終話 花空
”ガラガラガラガラ”
教室の扉を開け、あの時の教室に入る。
一年前、ここで俺はあの人に告白した。自分の中の区切りの告白のつもりだったから、まさかオッケーをもらえるなんて考えてもいなかった。
しかし、あの人は俺の告白にオッケーしてくれた。
あの時のことを思い返すと、少し恥ずかしくて甘酸っぱい気持ちになる。一年前の今頃はドキドキしながらあの人が来るのを待っていたのかな……。
今日であの日から一年か――。
”ガラガラガラガラ”
俺が思い出に浸っているとき、あの人はあの時のように突然やって来た。
おろした長い髪に、吸い込まれそうな美しい瞳。綺麗な肌に、制服のスカートから伸びる真っ白な脚。
世界一かわいい俺の彼女だ。
「華奈、卒業おめでとう!」
「うん! 彩太もおめでとう!」
華奈の笑顔は、付き合って一年経っても眩しすぎてなかなか直視できない。
「ほんと、色々あったな……」
俺は修学旅行から今までの濃密な出来事を思い返す。今では、楽しかったことも、辛かったことも、かけがえのない青春だった。
そんな多事多難を経て、華奈と付き合えたのは、奇跡のようなことだと思う。
華奈に出会えてよかった。華奈と想いが重なってよかった。華奈でよかった。
窓の外には、白い雲から垣間見える流れる川のような空が映る。
「華奈、大好きだよ!」
「……! 私もっ!」
二人はあの時のように強く抱き合う。華奈の華奢な体を抱きしめる。
「これからもずっと一緒にいてください」
「もちろん! ずっと一緒にいようねっ!」
幸せだ……。
二人は抱き合ったまま、顔を近付けて唇を重ねる。
今日も明日も、これからずっと幸せであることを願って。
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