望まれなかった世界
仲仁へび(旧:離久)
第1話
その世界は、誰にも望まれなかった世界だ。
生きる事を望まれなかった。
存続する事を望まれなかった。
生贄として。
嫌われ役として。
ただ、滅ぶ事だけを望まれて、無造作に捨てられた。
だから、世界は悲しんだ。
生贄になるために生み出されたとしても、誰かに嫌われるためだけに生み出されたとしても。
捨てられるために生み出されたのだとしても。
生きたいと。
必要とされたいと。
そう思っていた。
そんな世界は、自らの化身を生み出した。
その化身は、自分にできる様々な事を行って、奇跡を成した。
別の世界から、死した魂を呼び、その魂に勇者としての立場を与えた。
死したはずの魂は、化身に感謝し、よく働いた。
そして、その世界を必要だと言い、深い悲しみに寄り添った。
勇者は捨てられた世界を再生し、盛り上げ、活性化させ。
捨てた世界よりも繁栄させてみせた。
その結果、多くの人々が世界へ感謝の言葉を放った。
その悲しい世界を「要らない」という存在は、もはやどこにもいなかった。
多くの者達が、その世界に対して、今まで存在してくれた事を、生まれてくれた事を喜んでいた。
望まれなかった世界 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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