彼魔シリーズ人物一覧(暫定版)

伏潮朱遺

その1 主要4名

・北廉 干支利(ホスガ えとり)(19)

 本シリーズ主人公。埼玉出身。最難関進学校朱雀(すざく)学院主席。テストは常にパーフェクトスコア、全国模試万年1位。

 中学を迎えた春、父が学長を務める羅城(らじょう)大学心理学部にスキップ。父は心理学の権威。兄は国内最年少で博士号を取った天才博士。母のことはよく知らないが、自分を産んですぐ離婚したか、或いは、父が腹だけ借りたと推測。

 兄にもらったのでなんとなく掛けていた伊達メガネだったが、本当に近視になってしまいレンズを入れることとなる。表情が隠せるのでむしろ好都合。絵に書いたような優等生だが、他人とコミュニケーションを取るのが嫌なのと、父が望む姿を演じているだけ。どう転んでも自分は兄には敵わない。父は兄ばかり気に掛ける。

 気に入った相手には執着するが、そうではない相手には冷酷無比。気にいる相手の条件は、自分のコントロール下におけるか否か。女性に対し生理的に嫌悪感があり、父親はじめ周囲の大人(男)と身体の関係がある。

 兄の研究所地下であづまと出会う。彼に一緒に死んでほしいと持ちかけるが、決行の日にあづまは忽然と姿を消した。えとりはひとり、兄の研究所の屋上から飛び降りる。命は取り留めたが錯乱状態が続き入退院を繰り返す。あづまの不在の耐えきれないあまり、あづまを自分の幻覚だと思い込む。2年後、大学を休学して全寮制の羅城学園高等部に入学。寮の同室のゆーすけを巻き込んで、学園で最も目立つ生徒会長に立候補する。

 過度に精神に負担がかかると意識消失する発作を抱えながら、高校を卒業する。中学まで同級だった丘槻に精神的に支えられながら大学に通う。卒研発表を間近に控えた3月、あづまが帰ってきた。




・東海林 奏(ショウジ あづま)(18)

 本シリーズもう一人の主人公。ようじのことは「父さん」、としきのことは「親父」、としあきのことは「先生」と呼ぶ。「施設」と呼ばれる隔絶された環境下でとしあきに育てられた。母の存在を知らないが、疑問に思っていない。

 ようじが言い張るのでようじととしきの息子だと信じているが、実際はとしあきとのるとの息子。喘息発作持ち。学校に通ったことはないが、勉学はようじが一通り教えた。英語が致命的に苦手。

 えとりに好意を持っているが、ようじがいい顔をしない。理由はよくわかっていない。

 母と称する女性の姿が見えることをようじに話すと、ようじは血相を変えて飛び出して行った。それ以来ようじの姿を見ていない。

『ひんがしひがひがし』(1作目)『きたなむとりがなく』(2作目)主役。




・後磑 央氏(ユリウス ようじ)(?)

 シリーズのいわばラスボス。えとりの兄。自他共に認める天才博士。研究テーマは、かねてより自分とその周囲の人間に取り憑いていた共通幻覚――インクルゥディング・バイオリティについて。世界中にシンパがおり、財団あかいにしん本尊として祭り上げられている。

 としきに異様に執着し、あづまを自分との息子だと言い張り強引に認めさせる。ごく一部の関係者しか知らないが、生殖能力がない。幼い時に性的虐待を受けたことがあり、自分では気づいていないが他人との身体的接触を避ける傾向にある。

 だいじなあづまもとしきも置いて、現在行方知れず。どこで何をしているのかは誰も知らないが、誰がどこで何をしているのかはすべて把握しており、時折結佐にのみ指示連絡を寄越す。

 『天才博士の作り方――How to DIrEct Dr.Julius.――』(未着手;シリーズ最終話)主役。



・艮蔵 十識(カタクラ としき)30代後半

 シリーズ準主役。羅城大学と提携を結ぶ総合病院 正親(オオギ)病院でゴッドハンドと名を馳せる天才外科医。専門は心臓外科だが、救急のほうが性に合っていると思っている。眼つきと口が致命的に悪く、白衣もただ羽織っているだけ。どんなに急いでいても「止まったらどうする?」と言ってエレベータを使いたがらない。

 名古屋出身。生まれてすぐに父が出て行ってしまい、以後母に育てられるが、小児科医の母も滅多に自宅に帰らないため多感な青春時代をほとんど一人で過ごす。家事能力は料理以外は壊滅的。得意料理はラーメン。3食ラーメンでも飽きないほどのラーメン好き。仕舞には母もいなくなり、のちに事情がわかるものの、結果として両親に捨てられた影響と思春期とが悪い意味で重なり、河川敷で毎日流血沙汰を起こす最強の不良だった時代も。もちろんまともに勉強なんかしていないし、学校にも行っていなかった。高2の春に母が父違いの弟を連れて戻ってくる。弟とはゲーム好き(特にRPG)という共通の趣味もありすぐに仲良くなるが、母を捨てた父のことは今でも憎んでいる。

 三仮崎ミカサキとは高校時代からの腐れ縁。向こうのほうが3歳も上だが、「先輩」と呼ばれるのを本人ももはや訂正が面倒になって久しい。コーヒーが嫌い。コーヒー愛好家の三仮崎が嫌いだからなのかは判別が付きにくい。

 医者になった理由は、両親の影響というよりは、荒れた高校時代に3回だけ会ったとある女性に「医者になってほしい」と言われたから。精神科の父に治せなかったその人の助けになりたくて精神科を志すが、自分に合っていないことを早々に気づき、外科に転換する。難関の羅城大学に入れたのは、三仮崎の献身的な家庭教師も然ることながら、コネがあったから。

 ようじのことは手のかかる弟程度の認識だったが、次第に惹かれ、いまはかけがえのない存在になっている。本音を言えば早く帰ってきてほしいが、ようじ側にも帰って来れない特殊な事情があることは薄々気づいている。でもやっぱり一秒でも早く帰ってきてほしい。

 『うしろとらやまいだれ』(3作目)、『転落己号(てんらくきごう)』(番外編)主役。

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