家楼キャラ一覧(暫定版)

伏潮朱遺

その1 主人公とその周辺

・藤都 巽恒(ふじみや ヨシツネ)高2

 シリーズ主人公。京都出身、大阪育ち。実家は闇と裏の世界まっしぐら。後継者になるという条件で、高校卒業まで自由の身となるが、結局先代の死によって予定より早く連れ戻される。

 自由の身となった折に、鎌倉に引っ越し、「謎の家出少年」と称してKRE《クレ》次期社長の支部に転がりこむ。

 年齢の割に妙に達観しており、自称「百戦錬魔(磨、ではない)」に恥じず、だいたいのことは彼に任せればなんとかなる。女性の女性的な部位を視界に入れると「寒イボ」が立つという裏設定があるが、そもそも女性が彼の周りにいないため作中ではあまり登場しない。

 学ランが一張羅と言い張るが、いわゆるコスプレの学ランなので、特にどこの学校の制服というわけではない。単に毎日服を考えるのが面倒くさいだけ。

 背が低いのを気にしている。足癖が悪く、気に入らないとすぐに蹴りをお見舞いする。性格はドがつくほどの短気。常に周囲に苛々を撒き散らしている。かと思えば情に厚く義理硬い面も。自分と親しくなった人間と何人も死別してきたので、必要以上に親睦を深めるのを嫌う。

 実家のお世話係だったキサガタに瓜二つな外見の能登と出会い、内心ひどく動揺する。




≪巽恒の周辺@鎌倉≫


・岐蘇 実敦(きそ さねあつ)大1

 KRE(通称クレ Kiso Real Estate 岐蘇不動産)次期社長。KREで斡旋した物件入居者のアフターサービスを担う支部の支部長。

 出生時より父親不在のため、母親(現社長)と確執があり、祖父(現会長)に頼み込んで支部を開設した経緯あり。当初社長に猛反対されたが、結果(業績)を出しているため、さすがの社長も認めざるを得ない。出処不明の家出少年を匿っていることも含め。会長が社長を引退する際に次々期社長を実敦に指名したらしいが、実敦本人は生まれていたかどうかも定かではない。

 単身支部に乗り込んできた巽恒に一目惚れし、住居を見繕い、支部でバイトさせている。表向きは自分の生活費くらい自分で稼げと言うが、本音を言えば手元に置いておきたいがための方便。オープンにしていないが、同性愛者。巽恒には初見でバレた。結わえるほどの長い髪を、巽恒に「落ち武者」とからかわれている。

 巽恒以外はどうでもいい。彼の周りにわらわらと集まる有象無象に対し苛々を募らせる日々。雇用主として強く出ることもできるが、そこは惚れた弱み。巽恒にまんまと利用されているが、満更でもないらしい。巽恒の従者を気取る群慧も憎らしいが、最も敵意、危機感を抱いている相手は、朝頼アズマ。自分の同類だからかもしれない。




・群慧 武嶽(ぐんけい むえたけ)高1

 鎌倉一帯を牛耳る不良少年グループのリーダーだったが、巽恒との出会いで改心し、以後巽恒の従者として付き従う。まともに学校に行っていなかったため、漢字や言葉の読解に難ありだったが、巽恒の暇つぶしの教鞭により、いまでは日常生活に支障がないほどになった。巽恒曰く、「空のスポンジが養分を吸収しただけ」とのこと。

 連絡用に携帯電話を持たせても壊してしまうのでまったく意味がないが、特有の第六感みたいなものが働き、「なんとなく」でおおよそのことは察してしまう。この能力を巽恒は高く買っており、バイトを手伝わせるが、岐蘇はいい顔をしない。巽恒に対しては忠誠を誓っているが、その感情の裏にあるのがなんなのかは本人も薄々気づきつつある。あと一歩強気に出られない理由もいつもの「なんとなく」で気づいているはず。

 寺の一人息子だが、後を継ぐ気はないらしい。頭を丸める丸めない騒動で住職(父親)と喧嘩し、敷地内の離れに追いやられている。歴年齢の割に体格がよく、小学校の時点で170センチは超えていた。現在は190センチ超え。本来の性格は喧嘩っ早いが、巽恒に安易な暴力行為を止められているため我慢している。




・屋島 嗣信(やしま つぐのぶ)高3

 自分を取り巻くすべての音がまったく同じボリュームで聞こえるため、自作のイヤフォンを常に左耳に入れることで注意を逸らしている。超聴覚の持ち主。自分の声ですら最大音量で聞こえるため、幼少期から言葉を発していない。本人としては過敏すぎる聴覚への画期的な対抗策でしかないのだが、今は亡き両親に医療機関をたらい回しにされた上に、「異常」のレッテルを貼られたため、大人全般に激しい憎悪が残る。長らく不登校だった過去も。

 両親が事故で亡くなった後、京都の叔父に世話になった。叔父宅に引き取られたわけではなく、引き続き鎌倉の自宅で暮らし、叔父には経済的援助を受けていたのみ。自尊心を唯一尊重してくれた叔父に対し、いままで出会った大人の「例外」を初めて覚える。40過ぎても未婚の叔父に対し、不信感を覚えた叔父の両親(本人の祖父母)が、最終的に彼らを引き取ることでたらい回しは決着を見る。祖父母は海外旅行が好きなので、ほとんど自宅を空けている。孫として大層可愛がっているが、彼らが干渉されることを嫌うので程よい距離間だと思っている。

 嗣信の過去バナは、本章番外編『社団方陣≪遮断≫』に詳細がある。

 教憂と親友。彼が親友たるゆえんは、弟以外に初めて自分の「文字式メッセージ」を受け取れたことに由来する。「文字式メッセージ」とは、本人が発する電子メールのようなもの。音によって会話をするのではなく、脳に直接文字を送信する。受け取れる側に特異性のようなものがあるらしいが、現在彼の「文字式メッセージ」を受信できる人間は、弟と教憂と巽恒のみ。教憂が訓練(嗣信の実験台になったとも言う)によって受信能力を取得したのに対し、まったく初対面の巽恒に受信できたことは、彼にとってエポック以外の何物でもないと言える。群慧もなんとなく理解はしている様子。

 超聴覚の持ち主であるためか、オーディオに対し強いこだわりがあり、オーディオ機器に詳しい。機械いじりも好きで、大型家電量販店に頻繁に出入りしている。人の大勢いるところでは超聴覚は百害あって一利なしなので、「遮断モード」という方法を取る。「文字式メッセージ」の送信も受信も塞き止めて、音の一切を遮断する防衛方法である。ただ単に都合の悪いときや面倒そうな会話相手と対峙したときに「遮断モード」を活用する場合もあるので、一緒に行動する際は注意が必要。

 警戒心が強く気難しい性格だが、一度懐けば絶対に裏切らない。小柄な体型と、左耳の上部分の髪を結わえている姿が相まって、女子に間違えられることも多々。本人はさほど気にしていない。





・能登 教憂(のと のりうき)高3

 頭脳は偏差値以上だが、本番に弱く自分の力を十分に発揮できないため、試験という試験ですべて失敗し、今に至る。自己評価が低いが、決して諦めてはいない。次こそは、と意気込んで結局失敗の日々。

 嗣信の親友で同じ学校。もっと行きたい学校(超進学校)があったが、例によって試験に落ちた。過保護すぎる両親と過保護すぎる兄(大4)から「ちゃん」付けで呼ばれるのがとても恥ずかしい。

 勉強のしすぎで視力が悪化。運動神経も悪くなく、体格もそれなりにいいが、本人は単なる遺伝と思っており、どう転んでも自分固有の能力ではないと思い知るだけ。毎日、休日も返上で夜遅くまで塾に通い勉学に励むが、巽恒と出会ってからまともに勉強の時間が与えられない。巽恒のバイトに有無を言わさず助っ人として連れ回される。そこまで根を詰めずとももともと頭はいいのでテストスコアに影響はないが、元来の気真面目すぎる性格上、サボりは認められない。認めたくない。

 何故巽恒がそこまで自分にこだわるのか。彼はまだ知らない。ただ、何より親友の嗣信が楽しそうなのは、自分も嬉しくないはずがない。

 日本一有名なとある天才高校生に一方的に憧れを抱いており、彼が飛び級した大学に自分も通いたいが、自分の志す学部がその大学にはないと知り絶望する。その天才高校生の書いた論文を経典のように丸暗記している。





・那須蔓 宵壱(なすかずら よいち)高2

 自称巽恒の親友でクラスメイト。おでこの大きなほくろが特徴。好奇心旺盛で、呼ばれてもないのにどこへでも自転車で駆け付ける。面白そうなことをしている巽恒たち一派の仲間に入れてもらいたいが、巽恒本人には若干煙たがられている。のを本人もわかって接している。

 元弓道部のエースだったが、とある理由で辞めてしまう。実家は神事に携わる家系だが、本人の関心はそこにはない。もっと刺激的で楽しいことをしたいと思っている。全寮制の高校に通う妹がいる。





・朝頼 東春(ともより アズマ)大2

 新興宗教団体「白竜胆会」(しろりんどうかい)総裁の二男。総裁のポジションに興味はないが、金儲け部分と信者を支配する部分に多大に興味がある。白竜胆会が鎌倉に総本山を構えるに当たりKREから広大な土地を購入し大お得意様となったことで、以後白竜胆会とKREは密な関係を築く。そのKRE次期社長が始めた新事業に個人的に興味がないわけがなく、独自の非合法なルートで巽恒の身元を調べるが、目ぼしい情報が何も得られなかったことでさらに興味に拍車がかかる。

 ネット事情に明るく、個人投資でボロ儲け。オンラインでの知り合いが多いが、利用し搾取する側に立ち勝ち誇っている。人間が嫌いで、全人類を見下している。

 4人兄弟の3番目。長女ヒズイ、長男マズル、二女サズカがいるが、似ていないので誰も血縁でないと確信。実の母親が誰か知らないわけではないが、生きていようが死んでいようがどうでもいい。

 桓武建設御曹司と行動を共にすることが多いが、本人としては体のいい捨てのコマ程度にしか思っていない。巽恒に興味を持ったのは、KRE次期社長を揺さぶる材料が欲しかっただけ。巽恒を言い値で買うと、冗談とも本気ともつかぬ勧誘を続ける。

 小柄な嗣信よりもさらに小さく150センチすれすれが関の山。薄暗い室内に引きこもって画面ばかり見ていたので成長が止まっている。遠視なので、作業中は首からかけたメガネを装着する。桓武建設御曹司に恩を売るため金髪に染めたが、大学卒業ののち黒髪に戻す。

 性格は巽恒曰く「最低」の部類。KRE現社長と総裁がかねてより恋仲と知り、KRE次期社長に嫌がらせをする目的ただそれだけのために暗躍した。詳細は『言うも世の常とみほろし』に詳しい。KRE現社長と総裁が婚姻関係を結んだことにより、KRE次期社長とは義理の兄弟になる。すべては計画通り。




・桓武 廟晏(かんむ びょうあん)大1

 KREとも白竜胆会とも強いつながりのある大手企業、桓武建設の御曹司。公にはされていないが養子。

 何故桓武建設が養子を取らざるを得なかったのか。本人は聞かされているが、ここでは触れない。(本章6作目『天のあなたの美つくしき』を参照)

 金髪は地毛。地球上の全生物が溜息必須の超絶美青年でかつ婚約者もいるが、本当は女性には興味がない。盲目的にアズマに惚れており、使い勝手のいいコマだとしても傍に置いてほしいと思っている。そのアズマが目下最大の関心を寄せている巽恒に対し、激しい嫉妬心を覚えるが、特に何もできない。アズマの意に沿わないことはできない。




・屋島 唯信(やしま ただのぶ)高3

 嗣信の双子の弟。一卵性双生児だが、兄との見分け方はシンプル。声を発するか否か。もちろん、嗣信の「文字式メッセージ」は届き、会話も過不足なくできる。

 ピアノが得意。兄がなにやら楽しそうなことをやっているのを傍で見て、内心ホッとしている。兄に笑顔が戻った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る