第2話

学校に行くと、クラスの中は何かの話題でにぎわっていた。

自分の席に着くと、前に座っていた祐斗が俺の方を向いた。

「なあ、あの話聞いたか?」

「何の話?」

「このクラスで話題になってるやつ」

「……いやわかんないけど」

俺は周りの人たちが何を話しているかに耳を傾ける。


「――なー、どんな人が来るか楽しみだよな」

「そうだねー!」


「……転校生の話?」

「そうそう。転校生が来るっていう話が飛び交ってんだ」

「へーそうかい。それで、どんな人が来るかっていうのは分かってるの?」

「なんかちょっと変わった人っていうか……」

変わった人って言っても色々あるだろう。

「……?」

当然俺の頭上には?マークが浮かんだ。

「――はーい、みなさん席についてねー」

ガラガラと扉があいたと思ったら、担任の佐藤が入ってきた。

「えーと、早速ですが転校生を紹介したいと思います。それじゃあ入ってきて」

「――失礼します」

佐藤が呼ぶと、一人の少女がクラスに入ってきた。

「――えっ、まさか……!?」

「ど、どうした明人?」

いや、そんなバカな……。

「丹崎紬です。よろしくお願いします」

少女はそう言うと、律儀にお辞儀をした。

「それじゃあ紬さんの席は……」

とここで俺は気づいた。

空いている席が俺の隣しかないことを。

「じゃあ明人の隣でいいかな。明人もいいでしょ?」

「えっ、あ、はい……」

俺が意見を言う前に決められてしまった。

こういうのって、どちらかと言えば先生の方が権利は上なのだ。

周りの男子らは紬に視線がいっていた。

「よろしく」

紬はそう一言言って俺の隣に座った。

「よ、よろしく……あの、一つ聞いていいかな?」

「なに?」

「君……どこかで会ったことない?」

「……?」

確認するために紬に聞いてみる。

紬は少しの間きょとんとしていたが、やがて口を開いた。

「……あー、久しぶり明人」

「えっ、いやあの……」

「期待してた言葉と違った?ははっ、分かってるよ。夢の中で会ったよね」

なぜ夢の中で出会った少女が現実にいるのか。

夢と同じであれば、この子は重力を操れるはずだ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る