アリアズファンタジア

海星めりい

プロローグ



「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅ!?!? いい加減手を離せぇ!?」


「い、いやです! そう言って戻るつもりなのでしょう!?」


 ちくしょう――俺が一体何をしたと……。


 いつも通りの傭兵の仕事にしに来ただけ。それだけのはずだったのに……今、俺は一人用の小型飛空挺にフードで顔を隠した少女と一緒に搭乗する羽目になっている。


 しかも、この少女。俺が操縦桿から手を離せと言っても聞きやしない。


 元々いた飛空挺に戻られては捕まると危惧しているのかもしれないが、戻る、戻らないどころの話じゃない。



「「「「「「GRUAAA!!!」」」」」」



 なぜなら、俺達の周りには上下左右どこを見ても怒り狂った飛翔竜ワイバーンしかいないからだ。


 今の所は辛うじて回避できているが、暴れ回る飛翔竜の群れの中をこの小型飛空挺で飛び回れているのは正直、奇跡でしかない。


 飛翔竜に当たるなり、攻撃されるなりでいつ墜落してもおかしくない状況だ。


「アホか!? このままだといつ墜ちるかも分からないから離せって言ってんだよ!!」


「え? 墜ちる? それは困ります!?」


「バカ野郎!? いきなり離すんじゃねえ!?」


「だって、離せって……」


 少女があっさりと操縦桿を離したことで操縦桿に俺の力だけが加わり、急激に上昇していく。


 やばいやばいやばい!? すぐに安定させないと――って、目の前にでかい飛翔竜がっ!?


「うおあああああああ!?」


「きゃあああああああ!?」


 ドグシャァア!! と小型飛空挺がひしゃげる音と大地に引っ張られる感覚を味わいながら、俺はなんでこんな目にあっているんだっけと今日のことを思い返していた。



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