学校のふしぎな話 窓辺の少女

WsdHarumaki

第1話 初恋

少女は窓際の席で、外を見ている。

放課後で誰も居ない教室は、怖くもある

ぼくは彼女に近づいて

「なにしているの」

不自然すぎる挨拶に、驚いたように少女がみつめる。


怪訝そうだが落ち着いた様子で

「なにか用」

ぶっきらぼうに答える。

「ひとりで教室に居るから」

今度は不思議そうな顔で、「なにもしてないわ」

興味なさげに、ぼくを見ている

ぼくは別れの挨拶をすると教室を出た。


彼女はいつも放課後にひとりでいるわけでもない

でも見かけたら挨拶をすることにした。

「毎回あきないのね」

あいかわらず不思議そうにぼくを見ている

「君もひとりでいる事が多いかな」

この程度の冗談でも怒らない程度には仲良くなれた

「私は少し人とは違うからね」

少しだけ暗そうな一面を見せる


ぼくは彼女と会話をするだけで、毎日が楽しい。

生まれて初めて、恋をしたのかな。


ある日、彼女の頬をみると叩かれたのか赤い。

「どうしたの」

「別に痛くはないわ、大した事ない」

彼女は平静な様子だ

どうもトラブルで目をつけられたらしい

相手は不良だ。

「あなたは、なにもしないでね」

やんわりと釘をさされる。


ぼくはもちろん不良を探した、同性の同級生が犯人なのは判る

不自然にならない程度に監視をする

休み時間の時に、屋上へ行く階段でたむろしている。

時間をかけて一人になるタイミングを待つ。


今日は、ひとりでタバコを吸っている

吸い終えて教室に戻ろうと立ち上がり階段へ向かう

勢いよく体をぶつけると、頭から階下に落ちた。


「落下事故がありました、屋上への階段は封鎖します」

先生が、事務的に報告すると授業を始めた。

少女は明日の準備を考えていた。


いつものように教室で待っていると彼が会いに来る

「今日は元気そうだね」

彼は高揚した達成感でうれしそうだ。

「さようなら」

ひとつかみの塩を彼にふりかけると

真言を唱える。


呆然とした彼は、かすれて消えた。

少しだけさみしそうな少女が

「悪霊になる前にね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る