チェスと私とあるいは貴方

♞ナイト・アタック対策

黒番で相手にナイト・アタックを仕掛けられた場合、対処法を知らなければ序盤数手でハメられて一方的にやられてしまう。しかし知っていればハメられることはない。黒が四、五手目をしっかり指すとフライド・リバー・アタックとロリ・アタックは成立せず互角の展開となる。

この記事ではナイト・アタックを仕掛けられた黒が互角に勝負できる定跡３種の開始部分を書き記す。

その１　ポレリオ・ディフェンス

4...d5

5. exd5 Na5

5...Na5がポレリオ・ディフェンス。ナイト・アタックに対してこの定跡を指せば序盤で押し負けることはない。

ほとんどの場合、六手目、七手目は以下の流れになる。

6. Bb5+ c6

7. dxc6 bxc6

ここまでを覚えておくと確実。とても美しい駒展開の定跡だと私は思う。

黒のa5ナイトが白のb5ビショップの動きを抑え込んでいるのがポイント。これで黒は猛攻を防ぎながら展開をすすめることができた。このあとは白の選択次第。

その２　フリッツ・バリエーション

4...d5

5. exd5 Nd4

黒四手目、白五手目はポレリオ・ディフェンスと同じ。5...Nd4でフリッツ・バリエーション。不思議なつかみどころのない定跡で解析では白有利にも関わらずいつの間にか白が不利になっていくことも多い。

六手目、白の最善手は6. c3で黒ナイトを攻撃とされている。これに対しての黒六手目は6...b5、6...Nf5が有力手。Stockfishはg5マスの白ナイトを攻撃する6...h6を一押しにしているがこれは実戦では黒が不利になることがやや多い一手のようだ。

その３　トラクスラー・カウンターアタック

4...Bc5

ナイト・アタックに対し即座に反撃にでるという攻撃的な定跡。このあと数手はハメ手対ハメ手の様相となり、ヒリヒリした攻撃の応酬となる。

この定跡は今のところ実戦ではどちらが有利かはっきり定まっていないらしく、白が対策を立てていない場合は黒有利と思われる。

一例

5. Nxf7 Bxf2+

6. Kxf2 Nxe4+

7. Ke1 Qh4+

8. g3 Nxg3

9. hxg3 Qxh1+

黒の反撃の成功例。白のフォーク5. Nxf7を無視して5...Bxf2とチェックをかけるのが強烈な一手。ここから黒は猛反撃をしかけることができる。

白六手目は6. Kf1とビショップをとらずにチェックを外すのが最善手とされる。ただしこの場合も実戦データでは互角か黒若干有利。

まとめ

ナイト・アタックからのハメ手は上記３種類の定跡のうちいずれかを覚えておくと回避可能。

もっとも堅実で確実に互角以上に持ち込めるのはポレリオ・ディフェンス。

序盤から激しい試合を望むならトラクスラー・カウンターアタック。

トリッキーな動きと読み合いを好むならフリッツ・バリエーションがいいように思う。