第10話 おねえは凄腕コスプレイヤー?

いま、私、高橋たかはし春花はるかは極道と姫君略して極姫ごくひめのコスプレをしている。

だが私はコスプレには無関心、きもいと思ったことも無ければやりたいと思ったこともないし、興味を持ったことすらもない。なのになぜそんな私がゴリゴリのコスプレをしているかというと…それはほんの三十分前の事…


「おい! 姉貴あねき! 春花ちゃんに何するんだよ!」

「あらまだ何もやってないわよ? 人聞きの悪い」

「今までの経験上やることはたった一つだろうが!」

「はいはい口が悪い! 私はあなたをそんな子に育てた覚えはありません!」

「テメーなんざに育てられた覚えもないし、育てられたくないね!」

秋斗あきと君…口調荒くなってない?」

「あらいつもこんなんよ? 春花ちゃんとはどのような感じなの?」

「え~っとどっちかと言えば甘えん坊みたいな(春花ちゃ~ん!)みたいな」

「ちょっと春花ちゃん! やめて! これ以上俺のことを話さないで!」

「秋ちゃんあなたそんなことしてたのねww」

「おい笑ってんな!」


いつもこんななんだ。学校とは全然違うなー


「まぁいいわ。春花ちゃんこっち来てくれる? 二階の私の部屋。」

「おいマテ。俺もついてくぞ」

「あら。女の子のを覗くつもり?」

「っは⁉ ちげぇし! 俺の彼女守ろうとしてるだけだし!」

「着替え?」

「さっ! 春花ちゃんいいからいいから。桜なんて似合いそうね…ボソッ」


桜? 桜って春に咲く?


「良いから。秋ちゃん覗いちゃだめよ?」

「覗かねえし! うるせえよ! ~っ!」


忙しいなぁ。


三十分後…


「私は何を着せられているの?」


そこには白い裏地に様々な種類の桜色をふんだんに使われた綺麗な着物に身を包まれた春花がいた。だが、その着物はどう見ても市販の物じゃない。


クオリティ高いけど何なんだろうか…


「やっぱり似合うわねー!」

「かっ可愛い!」


いや恥ずかしいんですけど? ってか元ネタ知らないし。

しかもなんか秋斗君顔赤いよ? 恥ずかしいのこっちなんだってば


「すみません。この服装なんですか?」

「これは極姫のナンバーワンヒロイン月野つきのさくらちゃんよ!

桜ちゃんは気の弱い根暗なオタクでありながらある日極道の四兄弟に出会うの! その中から未来の旦那さんを選ぶって言うゲームなんだけど他にもいろいろヒロインはいるけどやっぱり私のヒーロー桜ちゃんはいいわね!」

「冬華さんのヒーロー?」

「えっ? あぁ私って元々根っからのオタクだったのよ。だけどこのゲームに出会って、桜ちゃんに出会って、四人兄弟に心を開いていく桜ちゃんを見て私も変わりたいって思ったの。それから大学に行く気はなかったんだけどデザイン専門の大学に中学から行きたいって思ってずっと頑張ってきたのよ。」

「へええスゴイ。」

「ちなみにおねえはデザイン会社式羽田家の日常の社長」

「へええ…。⁉ スゴ!」

「そのコス衣装も手作りよ。」

「すごい…。」

「そしておねえはコスプレ会の伝説ともいわれている。」

「コスプレ会の伝説⁉ っと秋斗君の姉貴とおねえの違いって何なの?」

「普段は姉貴で、オタク時はおねえ」

「なんとなくわかるかも」

「ふふっそれも面白いわね」


身近にこんな大物がいるだなんてなぁ。ていうか冬華さんは殺し屋じゃないんだ


「ってか姉貴一人暮らしだろ? 家はどうしてあんだよ。仕事も」

「十連休休み貰ったの。最近仕事が落ち着いてきたからね。」

「でも親父が黙ってねえぞ? 出来損ないが! って追い出されちまう。」

「! 確かに! どうしよう…」

「出来損ない?」

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