第7話 ラスボス登場?

今、この空間は誰にも…止められない!


秋斗君あきとくんこの服も似合うんじゃない? これもいいわ~!」

「サイズちょっと大きいですかね?」

「お母さんちょっと秋斗君も困ってるよ…」

「? 全然? むしろ着せ替えアバターみたいで楽しいよ?」

「ほらほら良いのよ! とりあえずこれ着てみてくれる?」

「どこで着替えたらいいでしょう?」

「本気にしなくって良いから! 秋斗君! もう帰って!」

「あら本気よ? これ隼人はやとさんがアイドル時代にデビューした曲の衣装なの。」

「そんなの聞いてない!」

「知ってます! 確か(君に届け)って曲ですよね?」

「そうそう! よく知ってるわね!」


もう駄目だ…せめてお父さんが帰って来れば…


「ただいまー。仕事が早く終わったもんでたい焼きセット買ってきたぞー」


お父さん! いいところに! 早くお母さんの暴走を止めて!


「隼人さん! いいところに! 見てこの子!」

晴美はるみ! 誰だその男! 浮気か⁉」

「浮気じゃない! 何言ってんの⁉ お父さん⁉」

「この子、春花はるかの彼氏なんですって!」

「マジ⁉ イケメンじゃないか! よくやったは春花!」


この展開は…予想不可能だったな。ヤベー

お母さんは簡単には中ボス。お父さんはそれ以上。ラスボスだ…


「その衣装は! 俺のじゃないか! 試着してみてくれ!」

「そうそう! ほらほら隼人さんも言ってることだし! ね? ね?」

「じゃあお言葉に甘えて!」

「甘えんなー!!!」


ダメだ。この中じゃ私だけテンションが違う。確かに! 確かに秋斗君は美形だよ?

でも! これはだめだろ! さすがに!


「そうだそうだ。俺さっきたい焼き買ってきたんだよ。四人で食べよう。」

「あのさ~。二人とも秋斗君を自分の家族だと勘違いしてない?」

「違うの?」

「ちゃうわ!」

「でも数年後には家族だろ。秋斗君の親にもあってみたいな~」

「お父さん勝手に何言ってんの? 気持ち悪いよ…」

「春花ちゃん! 自分のお父さんにそんなこと言っちゃだめだよ! 

産んでもらったのに!」

「お父さんには産んでもらってない。」

「秋斗君似合うわね!」

「あぁ! これはめっちゃ似合う!」

「あのね~!」

「写真撮ってウンスタあげちゃダメかしら? もちろんモザイク掛ける!」

「別にもう顔出ししてるので良いですよ?」


秋斗君も甘すぎだよ! もう少し自分を大切にしよ⁉ 高校生だよ⁉


「ホント? やったー! さっそく撮ろう!」

「俺も上げていいか? ツーショットと秋斗君一人で撮りたいんだが」

「もちろんです! 春花ちゃんも一緒に…」

「そんなことできてたら今頃あんたと付き合っとらんわい。私の弱み忘れたんか?」

「あ! そうだった。」


そんな重要なこと忘れないでよ…ってか。めっちゃと撮るめっちゃ連写音聞こえとる

これは、わざとなのか? こわ…


「これぐらいでいいかしら? さっそくあげちゃおっと。」

「名前って出さないほうが良いのか? 秋斗君?」

「別に名前も出してるので良いです。 式羽田しきはた 秋斗あきとです。」

「ホントに? じゃあ苗字だけ書いちゃうわね?」


だから自分を大事にって言ったじゃん。あ、言ってないわ。

まぁいっか、私には関係ないし。


「もう七時だからかえって明日も学校あるんだから。また明日。」

「そっかー。じゃあね。また来ます!」

「来んでええ!」

「また来てね~。」


っち。このふわふわトリオめ!


〈翌日〉


「式羽田君! 式羽田君の彼女って高橋たかはし晴美はるみ夫婦の娘さんなの⁉」

「え? 何で知ってるの?」

「だって二人のウンスタに写真乗ってるもん!」


もしかして…やっぱり!


【高橋晴美…私の娘がめっちゃイケメン彼氏連れてきたの! 式羽田君だって!

隼人さんの衣装着せてみたの~。めっちゃ似合わない⁉】

【高橋隼人…ついに娘が彼氏を連れてきて昔の衣装を着てもらったんだが、顔もスタイルもよくって写真をあげさせてもらった! すごくないか⁉】


何だよこのッ言葉! 彼氏だぁ⁉ 何ばらしとんじゃぁ! この馬鹿夫婦!

しかもトップに入ってるよ! ふざけるなぁ!


「そうそう。昨日家に行ってお話したんだよね。楽しかった!」

「えー。これじゃ勝ち目無いじゃん! 私ショックー。」


ぶち殺したらぁ。あの二人。

まぁ私ってバレてないのは不幸中の幸いかな…


さっきから西岡にしおかさんからの殺気がすごいんだけど…バレてなよね?

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