真・竹取物語
平行宇宙
第1話 プロローグ
『被告は流刑ME10000ポイントの刑と処す』
いやぁ!
私が何をしたっていうのよぉー!!!
大好きな研究をしただけじゃない!!
誰にも迷惑かけてないじゃない!!!
魂の叫びも、誰にも届かない。
処刑人に引きずられて、私は処刑台いや、処刑カプセルへ。
カプセルに無理矢理私は入れられると、すぐに意識は消されてしまう。
シューーーー
怪しい白い煙に私は包まれて、それがクリアになったあかつきには、私は赤ん坊ほどに縮んでいるだろう。
流刑ME10000ポイント。
それは銀河の果て、いまだ文明の発達していない未開の星への流刑を表す。
MEすなわちマジックポイント。
魔力を抜き取られ、10000ポイント貯めねば元の姿に戻れぬ刑罰。
魔法使いならまだしも魔法文明の星での一般人なら一年で使う魔力が約100ポイント。普通の人の文明生活100年分のエネルギーを貯めるまで、その辺境の星から帰ることかなわずの刑。
元の姿に戻ったときに執行部へと報告が行く仕組みだという。
当然、魔法文明ではない、しかも未発展の星へと流されるはず。
自力で魔力を貯めるほかはないだろう。
文明社会ならいくらでも魔力抽出の道具も方法もあるだろうけど、そんな親切な刑罰が行われるはずもなく。
10000ポイントを貯めるなんて、いったい何年かかるのやら。
そもそも魔力のない星なら、永遠に終わることのない刑罰でもある。
10年か、100年か、それとも1000年?
永遠でなくとも、そんな未開の星という牢獄へ繋がれる期間は途方もなく長くなるだろう。
寿命、という概念は、文明社会においては過去の話。
だが、事故や殺人、等で死ぬことはある。
文明に護られていないならばなおさらのこと。
原住民に出会って即人生終了、なんて恐れだってある。
初めて抱く、死への怖れ。
私はまだ300年くらいしか生きていないのに!
私は、「人の精神を害する魔法の研究を行った」という罪で刑罰を受けることになった。
文明社会で特に守られるべきは、個人の尊重。
精神に作用する魔法は禁じられ、研究することでさえ、厳罰に処される。
うん知ってた。
でもね、仕方ないじゃない。
私は初めて出会っちゃったんだもの。
心がときめいて、ずっと視線が追っちゃうの。
片時も彼の姿が頭から離れない。
あなたのことを考えて幸せで、また不幸せ。
心が痛いの。
他の人としゃべってる。笑い合っているのを見るのが辛い。
私を見て。
私だけを見て。
こんな女の子は嫌いですか?
嫌いって言われたらどうしよう。
私、もう生きてはいけない。
だったら・・・・
私のことを好きになって欲しい。
私を魅力的だと思って欲しいの。
そう思って、昔々にあったという魅了の魔法を再現したの。
禁術だって知っていたわ。
でも、だって・・・
私は、危険人物として投獄され、裁判を受け、流刑ME10000ポイントの刑を受けることになったのです。
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