サクラ

第1話

俺には、夢がある。小さい夢かもしれないが、ずっと、持ち続けている夢というのが喫茶店経営。薄利多売であまり儲かる業種ではないと、世間では言われているが、その概念を覆したいのである。そして、その次の夢というか、目標として、２号店、３号店と、増やしていきたいのであ～る。経営はなんでもそうだが、世の中そんなに甘くないことは、重々承知の助である。ネットで調べたり、現地行っていい”ネタ”がないかと調査するものの、中々ない。なんだかんだで、思い立ったら吉日から、もはや１０年の歳月が流れた。しかし、拾う神が、現れた。夢を捨てないで、根気よく探していれば、あるものだ。ついに見つけたぞ！。その場所は、東京の六本木。３０坪で道路沿いにあり、駐車場も１０台入れられるスペースがある。どうやら現在の経営者が一身上の都合で、辞めるらしいのだ。しかも、そのままの状態、つまり、”居抜き物件”なのだ。それに、店のメニュー、レシピもそのまま、使ってもいいとのこと。全部コミコミで１０００万でいいらしい。というか、何たって、あーた、ド素人な者なので、この金額が、高いか、安いか、わからない。こんなものかなって感じ。なので、まだ、経営してるというので、状況見させてもらって、よければ、決めさせてもらう。貯金の５００万と、あとの、５００万は、銀行からの融資でやるつもりだが。早速、その経営者に連絡をした。「物件と、営業しているところを、見たいのですが、、。」「早速の問い合わせありがとうございます。すぐには、無理なので、んんー、そうですね、２日後にしてくれますか？」「はい、わかりました。それでは、２日後にお伺いいたしますので、よろしくお願いいたします。」と、言ったものの、何か奥歯に物が、挟まった感じだな。２日後というのが、気になるが、、。そして、2日待って、その店に行った。何だ？スゲー繫盛してんじゃん。中に入ると、満席状態だ。おー！いいね。しかも、昼時ではなく、朝の１０時すぎなのに、この繫盛ぶり。（これは、儲かるぞ。うしし、、。）そして、奥に通されて、商談開始。「どうですか？」「どうですかも、何も、凄く繫盛してるじゃないですか。失礼ですが、想定外と言うか、予想外でしたね。もう、決めました。宜しくお願い致します。」「ありがとうございます。メニュー、レシピも、そのまま、お渡しします。それで、お金の方は、いつ頃ご用意できますか？」「「１週間待って頂けますか？」「ならば、契約金の一部として、予納金として、前金で、１０万円本日納めて頂けますか？」「分かりました。」店を、出ていくときに、高校の後輩の岸田と、会った。「おー、久し振りだな。よく、この店来るのか？」「え、え、まあ。先輩も？」「まあな。実を言うとな、今度、この店の経営者をやることになってな。ちょっと見学に来たんだ。俺になっても、この店来てくれよな。」「あっ、わかりました。ちょっと、用事があるので、失礼します。」なんだかな、あいつ、何か、挙動不審な感じだな。まあいいか。そして、銀行からの融資が決まり、１０００万支払い、これで、この繫盛店俺の物だ。うっしし、、だ。そして、儲けて、２号店、３号店だ。よーし、頑張るぞ！そして、開店１日目。営業時間は、８時から、２０時までだ。８時前から、行列ができてると、思ったが、、今１０時なのだが、まだ客ゼロ。まあ、これからか。２時間たち、もうお昼時なのに、お客さん来ないんですけど（泣）。どうゆうことずら？あんなに、お客さん入って、繫盛してたのに。結局２０時ラストまで、お客さん、５人だけ。そうだ、岸田に電話で、聞いてみよう。「岸田か、俺だよ。今日から経営してるんだけど、お前よく、この店来るって、言ってたよな？今日1日５人しか来なかったんだけど、、、」「先輩、気を落とさないで、聞いてくださいよ。実をいうと、その店なんだけど、あるお客が、店の中で、何人かで、記念撮影したらしいんだけど、霊が写っていて、それが、広まって、霊能者まで、来る始末。そして、その霊能者が、言うには、この場所は、昔墓場だったらしいんです。それからというもの、そこそこ、それまでは、常連客もいて、経営状態は、よかったみたいだったけど、その件いらい、客が、来なくなってしまって、売ろうとしても、買い手が、なかなか、つかなくて、それで、俺、ごめんなさい。アルバイトしてたんですよ。」「え～！意味わからないんだけど？どうゆうことずら？」「だから、あのときいた、繫盛していた人達、ズバリ言うわよ。じゃなかった、ズバリ言います。みんな”サクラ”なんですよ。」「って、言う事は、俺騙されたの？残ったのは、借金だけ？で、お前、そのバイト料は、いくらだ？」「１回１万円です。」「やっぱり、世の中甘くないのおう。自己破産申請するしかないか？トホホだな。」「先輩、他の物件でも、こうゆう案件のバイトあるんですよ。」「岸田、そのバイト紹介して。」