猫と猫の物語
虹なん
第1話 猫だって思いっきり嫉妬したい!
私は猫のモコ。
「可愛いね~」
と優(ゆう)ちゃんという小学5年生の子がいる。正直私はこの子が大っの嫌いだ。
いつも追いかけてくるし、大声で歌うし。とにかくうるさい。まぁでもよく猫じゃらしで遊んでくれる。
ーでも最近は遊んでくれなくなったー
最近は追いかけたり歌ったりするだけで猫じゃらしで遊んでくれない。そんな日が何日も続いた時、新しい猫がやってきた。まだ産まれてばっかりの様だった。
「可愛い~」
と優は言う。
「あら~まだちっちゃいね~」
と優のお母さん、マミが言う。
「まだ産まれてばっかりなんじゃねーか?」
とじいちゃんが言う。
「本当に可愛いね~」
とおばあちゃんが言う。飼い主はこの4人家族だ。
(誰だこいつ…)
と思いながら睨めつけてやった。
それから何ヶ月か経った。
もうすっかり子猫…いや、ぺぺは家族となった。
優は興味津々でいつもよく猫じゃらしで遊んでいる。
(なんだこの気持ち…なんだか凄くモヤモヤする…)
私の物はほとんどぺぺへ行き渡った。猫じゃらしも、キャットタワーも。。
そして最近は私に着いてくる。
「シャャャ」
と言って怒ってるふうを装っているけど全く効果がない。
(マジでムカつくぞこのぺぺっていうやつ)
ぺぺは子猫の名前だ。ぺぺという言葉すら嫌いになりそうだ。
優はもう私とは遊んでくれない。
(そういえばもう優は6年生か…)
今は2月だから、もうこの家に来て1年は経った。
元は私は野良猫だった。もう1人私と同じ歳の子が居たけれど交通事故で死んだ。
(もう一度、会いたいなぁ)
もう1人の子と一緒に今の家の庭によく来ていた。餌が置いてあったから。でもその餌は元々飼い主が名付けた「エルメス」用の餌だったらしい。エルメスは怖かった。餌を食べようとすると怒ってきた。でも今はそんなことはない。平和な日々を送っていた。でもこいつ(ぺぺ)のせいで私の居場所がまた無くなってきたようだった。
そんなある日、事件は起きた。
「バシャーーン!!」
1階から大きい音が聞こえた。その後に
「何やってるのもぅ…」
という声もきこえる。
優は下に言って様子を見に行った。私も本当はこいつの後をつけていくのは気が引けるが今は1階で何があったのかと言う方が気になる。
「どうしたの!?」
優が言う。
「実はぺぺが走ってる時にコップこぼしちゃったみたいで~」
とおばあちゃんが言う。
「えええ!w」
「もう!このぺぺ!ムッだよ!」
と優とおばあちゃんが話し合って笑っている。
「でもそういう所が可愛いんだよな~」
とおばあちゃんが言った。私は「は?」となった。私は今までコップを落としたこともないし、悪さもしない。なのになんでこいつが悪さをしたら可愛いんだよと思った。私は怒る気持ちと悲しい気持ちが混ざりあった。
「さようなら」
気がつくと、私は玄関の所に立っていた。
抜け出したい。と思った。でもドアは閉まっている。出られない。私は仕方なく2階に戻った。毎日毎日、ベットで寝る生活。流石につまらなくなってきた。でももう歳だから。寿命が縮まっていると考えると怖い。
いつものようにベットで寝ていると誰かさんが来た。…ぺぺだ。
ぺぺの顔を見ると凄く目がキラキラしていてまだ体も小さくて可愛かった。
(私も昔は…こんなに小さかったのかな…)
と思った。何となくでも、
「シャァー!!!」
ぺぺを驚かす。ぺぺはビビって逃げていった。ぺぺを見ると慣れない気持ちがやってくる。そう考えてた時、マミさん(飼い主)が、
「こらモコ!ぺぺに嫉妬しないの!」
と言った。そうか今思えば慣れない気持ちはただの嫉妬だった。でも、、、
「ニァー(猫でも嫉妬したい!)」
猫と猫の物語 虹なん @niziirodesu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます