第5話これでも人の親

僕は20代会社に散々使われ、壊れると捨てられた。

人が寝ている時間帯も働いた。

たった7年間だが、15年分は働いた。給料はピンはねされたが、女性事務員に。あのナマズ女が!

団体職員はこんなに、苦労しなければならないのか?

なぜ僕ばかり、朝から次の日の昼まで働かなきゃならないの?

壊れた僕は30代は記憶にあまり残っていない。

消された時間。

そして、精神障がい者になった。


だけど、嫁さんと知りあった。病気前から交際していて、統合失調症と診断された翌日、彼女を飲み誘った。これで、この女の子ともお別れか。

僕は診断された病名を彼女に伝え、迷惑かけるから別れようと言った。

すると、彼女は一緒に病気と闘おうよ!と言った。

僕は、思いがけない言葉に驚いたが嬉しかった。

そして、結婚した。

一人だが子供が出来た。僕はこの子供を守らなくてはいけない。


障がい者が家族を持ち維持するには、相当な労力がいる。学校行事、保育園の時は送り迎え。

これを乗り越えて来れたのは嫁さんのお陰だ。僕はヒモではない。きちんと、少ない給料の一部を渡している。

これでも、人の親なのだ。ただ、別居している。これは、複雑な理由があるのだが、家族にの繋がりは深い。

卒業式には出席しよう。小学校の。

息子はパパが障がい者とは知らない。

いつの日か、教えてやろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る