俺への好意を隠し切れない義妹が日増しに可愛くなっていてキュン死しそうなんだが
星村玲夜
第1話 俺に惚れた義妹
俺には義妹が一人いる。
名前は
俺たちは今年の3月に俺の父親と夏鈴の母親が再婚したことで兄妹となって、一つ屋根の下で暮らし始めた。
最初こそお互いどんな距離感で接すればいいのか分からなくて必要最低限のコミュニケーションしか取らなかった俺たちだけど、ずっとこのままは嫌だと思って俺から積極的に話しかけるようにしたら、徐々に夏鈴からも話し掛けてくれるようになって、俺たちはよく話す仲の良い兄妹になった。
ただ、夏鈴は時折目が合うと目を逸らしたり、手が触れ合うとビクッとして手を引いたりと、俺を嫌っているかのような行動を取ることがあって、それがなぜだかよく分からなかった。
その理由が分かったのは、同居し始めて約一ヶ月が過ぎた頃のこと。
「夏鈴―、ご飯出来たってよ…………あれ?」
一階のリビングでテレビを見ていた俺は、夕飯が出来たから夏鈴を呼んできてほしいと母さんから頼まれ、二階に上がって夏鈴の部屋の前から夏鈴を呼んだ。だけど、部屋の中からは何の反応もなかった。
寝ているのかなと思いながらドアを開けると、照明は点いているものの夏鈴の姿はなかった。
――ちょうど今トイレに行っているところだったか?
ドアを閉めてから、俺は階段を下りて一階に戻り、廊下をリビングとは反対側に進む。
すると、トイレのすぐ横の脱衣所に夏鈴の姿が見えた。
夏鈴は何かを大事そうに持って、それに顔を埋めていた。
――あいつ何をしているんだ? てか、あれ俺の体操服じゃないか?!
困惑してその場に立ち尽くしていると、夏鈴が俺の体操服から顔を離した。
見えた夏鈴の表情はこの上なく幸せそうで、俺がいることには気づいていないみたいだ。
「あぁ、お兄の匂いたまらない……お兄大好き…………」
「えっ……」
夏鈴の口から飛び出た言葉に驚いた俺は思わず声を漏らしてしまった。
「ッ!?」
俺の声を聞き、ぎょっとしてこちらを向いた夏鈴と目が合う。
一瞬にして夏鈴の顔が真っ赤になったと思ったら、夏鈴は体操服を俺に押し付けて、もの凄い速さで二階へ駆け上がって行ってしまい、俺は廊下にポツンと残された。
「マジかよ……」
この時、俺は夏鈴に惚れられていたのだと気付いた。
そして、兄妹になって三ヵ月余りが経った今はというと――。
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