おしまいの人間
首を吊った日、そこで僕はおしまいになった。
おしまいになった人間はツケを払わなくてはいけないらしい。
ニキビみたいな人のストレスを潰し続ける傀儡になるらしい。
いつのまにか僕の手にはしめ縄が握られていて、彼は意志を持って僕に話しかける。
「死ぬなら、ちゃんとツケを払ってちょうだぅ!」
それから、気持ちの悪い生活が始まった。
いろんな形をした肉塊が見える様になった。
「あれを潰してちょ!」
「どうやってだよ」
「すっごく簡単、僕でアレを締め殺すだけぇ」
無理無理。
中には心まで貧そうな痩せこけた肉はあるのはあるが、大体はジャングルにいるような動物の異形バージョンみたいなのが有象無象している。
「とにかく、試しにガリガリをやってみなよぅ!」
「へいへい、」
ぱーぶめんと に わんだりんぐ したガリガリを始末した。
すると縄が長くなってもう少し縛りやすくなった。
「ね?かんたんだしょ?」
「………」
虫を潰した時と同じ感覚がした。
「それがお前が自分にしたことだよゴミ野郎ぅ」
流暢に喋るしめ縄は気持ち悪かった。
僕はすぐさま捨てた。
でも、手元に戻ってくる。
そして捨てるたびに首の痣が鮮やかになる。
「もうあれを狩るしか道はないめぅ!」
「五月縄い」
ひどく興醒めだ。
ツケってなんだよ…
「ん?アレのことぉ?」
そうだねぇ、アレはこうやって形容するんだよぉ
『ルサンチマン』
———そう、クソ生意気なしめ縄は言い垂れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。