スーパーネコネコユリユリ

嬾隗

平和

 己家山音子ミケヤマネコは思った。平和が一番である、と。

 音子は、女子高に通うJK。ピッチピチの十七歳である。容姿は男女問わず口を揃えて『かわいい』と言う可愛さである。綺麗に染まった金色のボブ、見るものを惹きつける緑と赤のオッドアイ、幼さが残る輪郭。総合すると、小動物に近いものがうかがえる。


「うにゃ~、今日も平和に乗り切った~」

「寝てただけでしょ」

「そうともいう~」


 音子に話しかけたのは立河妃奈タチカワヒナ。音子のクラスメイトである。金髪の音子に対して、黒髪ロング、切れ長の茶色の瞳、すっとした輪郭。どこか冷たいような印象を受ける。


「何回席替えしても必ず窓際を引く音子はすごいね。日向ぼっこするためだけに生まれて来ているかのよう」

「えへへ~」

「褒めてない」

「にゃー、褒めてよー」

「音子はかわいいよ」

「にゃふふ」


 音子は妃奈に褒められてご満悦だ。


「あ、そうだ音子。今日は金曜日だけど、うちに来る?」

「いくいく~。毎週の楽しみだもの」

「りょーかい」


 音子は毎週末に妃奈の家に泊まるのだ。クラスメイトもそれを知っているが、何をしているかは知らない。



 ◆



 妃奈の家にて。


「お風呂上がったよー」

「うん」


 交代でお風呂に入った二人。そのまま妃奈の部屋に向かう。ちなみに、妃奈は一人暮らしだ。


「今日も可愛がってね?」

「もちろん」


 二人は恋人関係である。クラスメイトは知らない事実である。毎週末、妃奈の家に行くのは、セックスのためでる。


「今日もちゃんと薬飲んだ?」

「もー、いつできてもいいのにー」

「ダメダメ、卒業したら。十人は欲しいから、覚悟してね」

「♡♡♡」


 今日も、平和である。

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スーパーネコネコユリユリ 嬾隗 @genm9610

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