第2話 一方、魔王は

アルヴィ城の最高階、そこには魔王が佇んでいた。

仕切りのないワンルームのそのフロアはただ、魔王がポツンと居座っていた。しかし、そこに居るいる少年は魔王とは程遠かった。幼く中性的な顔立ちをした彼は俗に言う美少年と言うやつだ。本当に彼が魔界、そして人間界を束ねる王なのかと疑う者は数多いる。


魔王は退屈していた。この10000年もの間ろくに自分と互角程度の実力を持った者と戦っていなかったからだ。10年前の戦いでは人類がよこした5人の勇者達は十階の刺客にやられ死亡。ついにはこのフロアにたどり着くことさえもできなかったのだ。


しかし、この下らない日常は今年で終わり。俺はもうじき死ぬ。そういう気がしてならないのだ。


魔王は孤独だ。その地位を手に入れた以上、致し方がない事だが常に遊び相手を求めていた。しかし、この10000年間、王の退屈を紛らわす程の人間は出ていない。


守衛が伝える

「人類側の陣営が門をくぐったそうです。」

「どうせ、結果は同じだよ。」

少し悲しそうな顔でそういった。


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アルヴィ城の門 @20a121

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