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ボクの勉強部屋の霊は、いつも、夜、寝てると、ボクの上に乗りかかってきてる。寝てて、ふと目覚めて、時間を見ると、いつも11:11になってて、それから、霊がふとんの上から乗っかってくる。


初めて部屋に入った瞬間、可愛いお人形さんの姿をいくつか感じたんだけど、実際には部屋には、お人形さんは何も置かれてなかったから、前の住人の持ってた、もしかしたら愛してたお人形さんたちだったのかなあと思ったわ。


霊に乗りかかられてて、しばらくすると、キスされてるように思えてきた。それから、優しく、なめまわされてるかのような感じもしてくる。

女の子のように感じる。

それも、芸術家のような感じ。

何ヵ月か、毎晩、そうやって、霊の女の子?に乗っかってこられてて、そのうち、何らかのメッセージを発信してるのではと思えるようになってきた。

なんとなく、その女の子は、芸術論を語ってくれてるのではと。

ボクのことを芸術の弟子のように考えてくれていて、それで、ボクに芸術について語りかけてくれているのではと。

芸術に対して、宇宙へと広がるような高い意識を持ちなさいと言ってるように思えてきた。


中3で沖縄から大阪に転校してきて、1年間で、私立も府立も、高校に合格出来た。

転校して来て、最初の頃は、別の市にある府立高校に行きたいなあと、なんとなく、考えていたんだけど、結局、受験したのは、ボクの住んでる市にある府立高校で、私立も合格したけど、府立高校のほうに進学することにした。この府立高校に進学するまでの過程が、どうも、何か、この高校へと導かれてるような感じをしていた。何に導かれてるのかは、わからなかったけど。このあたりの場所も、古墳もあったりして、歴史的にも深い土地柄なので、いつ頃の時代の、どういうものに導かれてるのかは、まったくもって、わからなかったわ。

ボクの勉強部屋に存在してる霊も、いつ頃の時代の、どんな方なのかは、よくわからないでいた。なんとなく、女の子で芸術家のような感じだけは、していたけども。


ボクの進学することになった高校の近くにはボクも好きな伊勢姫の庵がある。あの百人一首とかの伊勢さんの。今は伊勢寺となっている。高校は高台にあって文学的芸術的雰囲気が漂っている。


ボク自身の希望とは違う感じで、この高校に進学したから、つまり、何かに導かれたように、この高校に進学してきた感じだったから、何か、この伊勢さんと、もしかして関係あったりするのかなあと、思ったりした。

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