第9話

モーブがあの後案内してくれた馬車風のベンチはこの遊園地で一番

楽しいもののような気がしてしまう。

「るみか様、ここで少々お待ちになって頂いてもよろしいでしょうか」

「いいわよ」

「では、失礼します」

他の客でもいるのだろうか、そう思っていると、片手に人形を持って帰ってきた。

「こちら、今日るみか様を楽しませられなかったお詫びです」

「そんな、いいのに。こんなにいい人形」

その人形は華やかさは無いが、

惹きつけられる魅力を何故か持っている。

「受け取って頂けると幸いです」

「じゃあ、ありがたくもらうわ」

なんだかとってもいい物を貰った気分になった。

何の変哲もない人形を貰っただけなのに。

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