『西暦22222年2月22日2時22分22秒』 全3回
やましん(テンパー)
第1話 『西暦22222年2月22日22時22分22秒』
オ・コノ・ミヤキ星人は、地球の南極において、壮麗な建物にであっていた。
このような、建物を造るには、相当の技術が必要である。
なにしろ、どうにも、なかに、入れないのだ。
『隊長、だめですね。フロ一 1匹入れない。どこにも扉はない。ぶっ飛ばしますか、』
『うむ。この、壁の表示見たまえ、これ、おそらく、数字をカウントしてるんだ。ほら、こっちは、カウントダウンで、こっちは、現在時間だろう。22222.2.22.21.00。これによれば、たぶん、まもなく、なにかが起こるんだろ。桁が下がったからな。読み方はわからないが。』
9.8.7.6.………3.2.1.
『あ、あ、開いたあ。』
方形の建物の中央部が、開いた。
開いた部分がどこに入ったのかはわからない。
早い話し、あたかも、物体が消滅したみたいだ。
『なら、入りますか。』
『ああ。それが、我々のつとめだ。』
内部は、真っ白な、あたかも氷のような、静かな壁に包まれている。
まどはない。
座席もない。
ただ、立つか、寝るか、しかない。
彼らは、並んで入った。
全員が入ると、入り口は閉じてしまった。
『やっぱ、閉じたわ。』
『ふん。まあ、なんとかなるさ。』
隊長が、気休めを言ったらしい。
オ・コノ・ミヤキ星人は、雪だるまに近い様相をしているが、それは、つまり、地球人類に、近いということでもある。
ただし、視覚は、頭の周囲に六つあり、360度近く見渡せる。
足は、車輪のように回転するが、円盤ではなくて、球体になっている。
極めて、安定性が高く、早く移動できる。
ただし、腕は2本で、人類と大差ない。
『こりゃ、宇宙空間移動装置にちがいないすよ。隊長。』
頭部が、ちょっと長くて、目がやたら大きいのが言った。
『見た目はね。でも、娯楽施設かも。』
と、かなりお化粧したらしき個体が言った。
『いいんや。こりゃあ、処刑装置かもしれねえだ。なら、はやく、出た方がよいだんべ。』
『いや、もう、出口は、ない。調べたが、どこも、隙間がない。閉じ込められた。』
もう一人の、目がきりきりと立ち上がっているのが言った。
彼らにも、どうやら、人種とか、個体差とかがあるらしい。
すると、突然に、周囲が暗くなった。
『やはり、宇宙空間移動すよ。』
『どうかな。ただの、投影ではないかな。まあ、なにかのイベントが始まるに違いない。』
さすが、隊長は鋭い。
どこから、出ているのかわからないが、言語らしきが、聞こえてきた。
今までに、彼らが出会った、どんな言語でもないようだ。
その証拠に、翻訳装置が、お手上げを表明した。
適切な、言語データが必要である。
『みなさま、ようこそ、お出でくださいました。みなさまが、地球人類かどうかは、わかりません。しかし、どなたかが、ここに存在していることは確かです。なぜならば、存在しなければ、このアナウンスは、別のコメントになりますから。言葉の理解はできますか? もし出来なければ、言語データを提供いたします。かべの光っている場所に、なんらかの、記憶領域を接触させてください。じかに、脳でもかまいません。そちらにデータがあれば、転送してください。』
壁の内側が、ぐるっと、輪になって光り出した。
『なんて、言ったんだんべ?』
『あ、映像が出た。身ぶり手振り言語ね。言葉がわからなければ、データをやりとりしたい、と言ってるわ。』
『さすが、宇宙人形態表現博士ですな。』
『こいつは、だれでも、わかるっち。』
『まあ、まあ。よし、翻訳装置の情報交換端子を接続してみよう。よいしょ。』
すると、新しいデータが、きちんと、出入りするのが分かった。
『ふうん。一切のセキュリティをかけていないな。フリーパスだね。だれでも、アクセス可能だ。』
と、隊長。
『まあ、珍しい。紛争とか、戦争がない社会な訳かしら。』
『んだら、なぜ、だあれも、惑星上にいないんだべ?』
『種の寿命がきたんだろっち。どんな種の場合も、必ず、寿命がくるんだっち。』
『まあ、きっと、むこうが、説明してくれそうだね。処刑施設では、なさそうだしな。』
『隊長、楽観的よね〰️〰️☺️』
『それが、おいらの、唯一の長所さ。』
隊長が、自慢した。
すでに、データのやりとりは、最終段階に達していた。
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