悠久の魔女の暇つぶし
たれねこ
第一章 図書館慕情
第1話 プロローグ
この世界は過去に三度滅びたという。
一度目は、小惑星の衝突によって引き起こされ、巨大生物が
二度目は、行き過ぎた科学文明の果てに、世界全土を巻き込む
三度目は、今より数百年前に魔法という力を独占しようと試みた
(中略)
今、人類は生存のために仕方がなく魔導文明の遺産を縮小管理維持しながら、日々を過ごしている。魔導文明の遺産を
過去の
今を生きる人類の姿こそが、本来の人の
(ギャブリス・モーリアン著 『歴史からみる人という在り方について』より一部抜粋)
***
だらりとソファーに横になり、
「これを書いた人間は、相当
読んだ本の感想を誰に言うわけでもなく、口にする。それから紅茶に口をつけ一息ついた。
「とは言っても、あの魔導実験の真意を知らない後世の歴史家から見れば、こう判断されてもおかしくないのかしらね」
そう分析をしながら、当時のことを思い返す。読んだばかりの本にも書いてあった魔導文明の崩壊の原因となった大規模魔導実験が行われたのが、およそ五百年くらい前だっただろうか。
私はその実験を主導していたうちの一人の魔法師の助手として立ち会っていた――。
実験の元々の目的は、魔法を使うことができない人口比で言えば九割以上を占める普通の人間も魔法の力を行使できるようにするためにと始まったものだ。
つまりは、独占とは対極の理念で。
そのための研究を進めていく過程で、私たちが生活している空間とは違う隣接した空間、つまりは位相空間内に魔力の根源ともいえる物体が見つかった。それは<マテリアル・コア>と呼ばれ、その<マテリアル・コア>を現世に
もしそれが実現できれば、安定的で膨大なエネルギーが使えるようになり、魔法師という存在に過度に負担をかけることで成り立っていた当時のエネルギー問題の解消にも繋がると考えられた。そのことに全世界が注目し、実験の
しかし、実験は失敗に終わり、その代償として<マテリアル・コア>を失った人類は、魔力を失うことになり、元々の星から
そして、その失われたはずの<マテリアル・コア>は私の中にあり、その影響でどんなに望んでも老いることも死ぬこともできない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます