スノードロップ

@Smadoka

第1話 夜を駆ける

 映像が回る、崩壊と再生の、粒になり、肉になり、僕は走り抜けた。僕らがいったい何をしたって言うんだ。夏の陽の光に圧倒され、暗闇から目玉だけが浮かび上がる。走れるかい、千年を超えて走れるかい。あの土地の重力は強すぎるんだ。留まってはダメだ。何も考えず、とにかく走り続けるんだ。暗闇に追いつかれる。僕はまた暗闇に、目玉だけを浮かべて、今度は何を見たら良いだろう。終わりが近づいてきて、見える景色はだんだん少なくなる。目玉の力、光、輝き。重力はどんなものをも徐々に引きずり落としてしまうのだろう。考えるな。今日のことだけ、一歩先だけ見据えて生きよう。

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