西村冴
――人間は不思議だ。相手の瞳を見るだけで、相手がこちらを見ているかどうか判断できる。
私の愛おしい命は、張りと艶のある肌を持ち、ガラス玉のような澄んだ瞳で私を見ていた。赤ん坊の視界はぼやけて見えないらしいが、けれど私には分かる。この子は私の娘であり、私をじっと見つめている、と。
私は十六歳の時に、娘を産んだ。あまりにも若い妊娠で、赤ん坊の父親である加藤創志は私の親に認められず、私はそれに反発し、創志と生まれてくる子供の三人だけで生きていくと決めた。今思えば、それが大切なものを失う理由となった大きな過ちだったと分かる。
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